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枯れ葉  作者: 花染
1.我が主の心臓
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3.復讐と友情(3)

 ラルクは、図書館で借りた本をベッドから眺める。自分が死ぬのは、怖くない。トラードが、友達が死ぬのが怖いのだ。


「……琥珀石があれば勝てる……けど、手にいれるのが難しいよりもそれよりも問題があるんだよな…」


 琥珀石には、大きな力がある。龍王の力は、世界を破壊できるほどの力がほんのわずかあると言われている。しかし、その力を引き出したのは、誰もいないと書いてあった。っと言うことは、トラードが琥珀石を手にいれたとしても勝てる確率は、0に近い。


 すると、バタンっとドアが閉まる音が聞こえた。たぶんきっとトラードが出ていったのだろう。そう思いラルクは、少し昼寝っと言ってもすでに夕方が眠たいからと少しだけ寝ることにした。


*+*+*+


 昼寝と言う一休みをして何時間たったのだろうか外は、暗くなっていた。ラルクは、目を擦り部屋から出ると、リビングに何故か明かりがついて無いことからトラードは、まだ帰ってきて居ないことが解る。時計を見ると20時。二時間ぐらい寝ていたようだ。何時もなら暗くなる前に帰ってくるトラードだが、いくらなんでも遅いと疑問に思い少し考る。そうこう考えていると、チャイムの音が聞こえた。


「誰だ?こんな時間に…」


 不安が過ったラルクは、恐る恐るドアを開けると、男二人立っていた。どうやら保安官のようだ。


「トラード・カンロスは、いるか?」


 保安官は、ラルクを睨み付けるように言った。


「居ない」

「何処にいるんだ?」

「知らない」

「隠しても無駄だぞ。さっさと出しやがれ」


 そう言いながら無理矢理家に入り隅から隅まで、探す。一体トラードは、何をしたのだろうか。ラルクは、考える。


「トラードが何をしたんだよ?」

「惚けるな!お前の仕業だろ!?」

「トラード・カンロスに琥珀石を盗めって言っただろ?あ??」


 トラードが、琥珀石を盗んだ。ラルクは、後悔をした。あの時確かに琥珀石があれば勝てると言った。


「琥珀石がいつ盗まれたんだ?トラードが、犯人だと言う証拠は?」

「証拠はないが断定は出来る。黒服を着た人を見たと言っている奴いるんだ。その上トラード・カンロスは、琥珀石を盗む理由がある」


 黒服を着た人ならこの街に何人もいる。黒髪何て何処にもいる。トラードが、メデューサを恨んでいると言うのは、この街で誰も知っているほど有名な話し。しかしそんな理由で、犯人扱いされると正直腹が立つラルクは、睨み付けた。


「メデューサを殺したいから盗むって言う理由だけで、動く奴じゃあねーよ。トラードは、アホみたいに素直で、律儀で、お人好しの奴なんだよ」

「だったら証拠は何処だ?トラード・カンロスは、何処にいるんだよ?!」


 保安官は、そんなラルクの態度を見て負けじと睨み付けながら言った。トラードの居場所。大体予想はついている。


「……………」

「おい待て!逃げるのか?!」


 保安官は、ラルクの肩を掴みラルクの動きと止める。しかしラルクは、保安官を無言で睨み、手をはらいふたたび走りだしその場をあとにした。

 宛先なんて解っている。メデューサがいる森にトラードは、いる。助けたい。守りたい。そう言う気持ちが、彼を動かしている。


「ラルク!」


 噂を聞いたルリラナが、走ってラルクの前に来た。不安で、いっぱいなラルクは、どうしたら良いのか解らず、ルリラナを見る。


「ルリラナ!俺、トラードの気持ちが解らなかった。俺のせいだ…俺があんなこと言わなかったら…ーー」

「大丈夫だよ。ラルク。

 トラードは、やってない。あんたが一番理解しているはずでしょ?それに黒のローブをきた人が出てきたって言ってたしね」


 黒のローブ。確か昼間出会った。ふと気にもしなかった微かに聞こえた言葉を思い出す。


「朱獅子の目」

「朱獅子の目?何その不吉な名前」


 朱獅子の目。確かにそう聞こえた。朱獅子。不幸、不吉。まさに今だ。

 犯人は、そいつだ。顔をよく見れば、良かった。悔しい。ラルクは、なんとも言えない気持ちを押さえる事が出来ず、壁を殴る。


「私も着いて行くから感謝しなさい」

「……ありがとう、ルリラナ…」


 平気な顔で、強がった顔でラルクは、歩き出す。それに気づいたルリラナは、少し前に歩き出す。


「大丈夫。私がいるから、私が側に居るから、私が守るから」

「ルリラナ…俺がお前を守るだろうが」


 心強いと思った。ルリラナがいてくれて、友達で良かった。


*+*+*+


 その頃トラードは、琥珀石を盗んだ人を追っているうちにメデューサの森にいた。黒いローブをきた人。手には、白く輝く綺麗な化石。


「あれをどうするんだろ?」


 静かに木の影を見るトラードは、首をかしげながら眺めていた。此所は、メデューサの森。メデューサを殺すためなのだろうか?不思議に思いながら見ていた。


「少年」

「!!!!」


 見つかった。トラードは、護身用持っていた剣を握る。息を飲み少しずつ出る。


「メデューサを殺したいだろ?」

「どうしてそれを?」

「お前は、メデューサに殺される。確実に正確に殺される」


 声を聞く限り男だ。ローブの男は、近づき手を差し出す。


「だからこそお前に力を差すげよう」


 力。龍王の欠片があればメデューサを殺すことが出来る。考える。盗んだ人から貰っても良いのだろうか?殺したい。メデューサを殺したい。息を飲み。考える。


「いりません」

「メデューサを殺したいじゃあないのか?」

「殺したいですよ。確かに正確に確実に殺されるかもしれません。でも、僕は、僕の力で殺したいです」


 トラードのその言葉にローブの男の顔は解らないが不気味な笑みを浮かべ消えていった。


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