1.親子の愛(1)
ラベンダー色の髪の毛をして普通の人間とは、異なる猫の耳に長居しっぽ。亜人と言う種族の少年は、森を歌いながら歩いてきた。
「キラキラ光る。夜空の星よ。瞬きすれば………
見つけた。メデューサの城」
少年は、辺りを見て何かを探し何かを見つけたのかにっこり微笑み走って座り込んだ。
「やった!メデューサの目だ!」
そう言って少年は、人形を取りだし目玉をはめた。
「さぁ!目覚めるんだ!メデューサ!君の魂は、新たな肉体によって甦りぼくの命令以外動けない操り人形となった」
目をはめられた人形は、不気味に起き上がり髪の毛が少しずつ蛇へと変わっていく。蛇皮の服に高いヒール。蛇髪の女性へと姿が変わる。
「出来た…ぼくの新しい操り人形」
そう言って少年は、不気味に微笑みメデューサに何か告げその場を後にした。
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ラルクが目を覚ますと何時ものような朝。久しぶりの自分のベッドに自分の部屋。起き上がり少しだけ考えた。
「……俺は…」
何処へ向かえば良いのだろ?自分のやるべき事は、解っている。きっとビオラも同じだ。でも、トラードもルリラナも普通のエルフで人間だ。
自分の手を見てザルクルフだった記憶を思い出す。
「守らないとな…約束を…俺は…諦めたらダメなんだ。立ち止まったらダメなんだ。逃げたらダメなんだ」
歯を食い縛りラルクは、窓を見て少しだけ考えた。
「俺は…此処に居たらダメなんだ。ごめん…皆…」
立ち上がり窓を開け下を見た。誰も居ない。此処なら今なら誰も気づかれず旅立つ事が出来る。不安もある。恐怖もある。だけど、誰にも傷つけず済む。自分だけ、嫌われたら良い。自分だけ孤独になれば良い。
「さようなら、皆…もう、俺を思い出さないでくれ」
そう言ってラルクは、窓から出て行った。