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枯れ葉  作者: 花染
2.欠落した記憶
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20.目覚めた力、奪われた力(2)

 ザックは、目覚めたラルクを下ろし伸びをして辺りを見ていた。ふと顔色を変え目覚めたラルク見てをビオラは、あきらかに驚きを隠せていない。慌てて持ってたラルクに飲ました薬を見て、考えた。


「君は誰なの?」

「………」


 不思議な質問にザックは、首をかしげ城をみる。小さいとはいえ城だ。誰もいないようだから此所に女神が居ると思えない。


「………ラルク?どうかしたの?」

「………」


 ラルクは、黙り混み無言で城へと入っていった。何か様子が可笑しい。不思議に思ったルリラナとトラードは、走ってラルクの後を追うように入っていった。


「ミウちゃんは、此所にいて」

「どうしてですか?」

「嫌な予感がするから、此所にいて」


 そう言ってビオラは、走って3人の後を追っていった。

 嫌な予感がするのは、ビオラだけではない。この城から感じる強い力。この中に、この城に何か居る。


 女神のような神秘的な感じでは、ない。他の何か。


「神子としてのボクの役割…ザック、ボクたちも行きますよ」

「そう言うと思った」


 神子として。これがミウの全てだ。


 龍王の欠片のおとぎ話が本当にあった話なんて知っている人なんて多くいない。なのにミウは、神子として、世界を守ろうとしている。誰にも手を借りず、誰にも頼らず、誰にも助けを言わず世界を守ろうとしている。


 なのに彼女の努力を誰も知らない。



*+*+*+*


 その頃ビオラは、ラルクの背中を見ながら考えた。


 ラルクに飲ました薬“熱を下げる”を飲ましたはず。飲んで半日は、起きないはず。ビオラは、知っている。ラルクの中にザルクルフの心臓があることを。しかし彼女は、知らない。ラルクは、何者かと言うことを。


「白銀…龍王の心臓…頭痛…発熱…」


 呟くようにビオラは、言いラルクの先にある大きな紅い鳥を眺めた。綺麗な羽根の大きな鳥。どうやってこの城に入ったのかは、解らない。玉座を守るように眠っていた。


「あの鳥は…?」

「あれは、不死鳥(フェニックス)だよ」

「不死鳥?」


 紅い鳥、フェニックス。朱い獅子ではなく紅い不死の鳥を初めて見たトラードとルリラナは、無言で眺めていた。


 不吉な色。しかし、何故か不死鳥の赤は、美しく光輝く色。誰もがうっとりするような色に見えた。それは、多分きっと血や夕日以外に赤色を見ることがなかった彼らにとって、美しく思うのは、当然なのだろう。しかし、何故かビオラは、目をそらしラルクの手を握りしめた。


「もう一度言うよ。君は、誰なの?」

「……」


 ラルクの目を見つめて、ビオラは、答えを待っていた。しかし、ラルクの目は虚ろで、何か可笑しい。何者かに操られているような瞳。そう思った瞬間、鳥肌が立った。ビオラは、もう一度フェニックスを見ると黒のロープを着て深くフードをかぶった者が立っていた。


「彼に質問しても答えられない。答える事ができない」

「朱獅子の目!」


 その言葉と同時にトラードは、剣を取りだし走って斬りかかった。しかし、難なくロープを着た者は、トラードの攻撃を交わし蹴り飛ばした。


「…あの時に我らの仲間になっていて居れば…」


 トラードが持っていた剣を奪いトラードに向けた瞬間、矢が飛んできた。ロープの者は、交わし飛んできた方向を見るとルリラナが弓を構え睨み付けていた。


「トラードから離れなさい!」


 ラルクを守らないとトラードを守らないとルリラナは、震える体を押さえながら睨み付けた。


 そんなルリラナを見て鼻で笑いフードを脱いだ。はっきりと解ったロープを着た者は、男性。赤髪の青年だった。


「エント・ジュサーク…」


 彼を見たビオラは、顔色を変え思わず掴んでいたラルクの手を離してしまった。

 


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