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枯れ葉  作者: 花染
1.我が主の心臓
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1.復讐と友情(1)

「昔々、この世界には、神、龍王、精霊が居ました。神アークルは、全ての生き物に生死を与え、龍王ザルクルフは、生き物に知恵と言葉を与え、精霊イフティナは、生き物に心と力を与えました。


 しかし心を持ち知恵と力を持った生き物たちは、豊かで穏やかな日々は、長く続く争いをするようになったのです」


 雲ひとつない晴天の空が窓から見え穏やかな風が吹きカーテンが(ナビ)き静かにおとぎ話“龍王の欠片”と言う絵本を読んでいるのは、ハーフエルフでありこの物語の主人公であるラルク・ヴェルク。


 ラルクは、絵本をとじて大きなのびをして立ち上がりました。


「今日も平和だ」


 平和過ぎるほど平和だ。平和ボケになりそうで、固まった筋肉を解すためにと心の中で言い訳をしながら部屋から出ると、黒髪の眼帯をつけた少年がにっこりと微笑み剣を持ちながら立ってい居ました。


「ラルクさん。良いですよね?」

「今日も平和だ!」

「ラルクさん!」


 平和だと思ったが違っていた。と言うよりも平和であって欲しかった。ラルクは、深いため息をはいて手をくみ明らかに嫌な顔で、トラードを睨み付けたのです。


「本当に懲りないなお前は」

「僕は、どうしても母を殺したメデューサに復讐をしないと生きている価値がないです。もっと強くなるために稽古に付き合って下さい」


 トラード・カンロスは、復讐するために生きていた。小さい頃に目の前でメデューサに母親を殺された。幼きトラードは、深い復讐心の中で出会ったのは、ビーナスと言う街で一番強いといわれる一人の少年が皆の嫌われ者であるラルクだった。


 ラルクは、剣を持つのでもなく机に置いていた本を持ってトラードのおでこに目掛けて本の角で軽くぶつけたのです。


「ッ痛…!」

「奴の特徴は?弱点は?対策は?」

「っ~~~!え、えっと特徴は…目を見ると石化になり牙には、毒があり噛まれると猛毒にやられ死んでしまう…対策は…目を見ないで、正確にメデューサの位置確認をしてから攻撃をする事。弱点は…………」


 トラードが詰まったのを見てラルクは、何か思い付いたのか、不気味な微笑んだとと思ったら無表情になり本を机に置いて、目をけして離さず瞬きもせずゆっくりと口を開きました。


「弱点は、きっと首を切れば必ずアイツは、死ぬ。だけど、お前に出来るか?刃から伝わる柔らかい肉と固い骨の感触。そして、首から上を切り離された胴体にある太い血管から吹き上げる血生臭い噴水を心臓が止まるまで浴び続ける事になるんだ。落ちないだろうなぁー…あのどす黒い血の匂いが…」


 言葉、一つ一つ強弱があり不気味聞こえたトラードは、少しだけ後ろに下がった。それを見たラルクは、すくすく笑いだした。不思議に思ったトラードは、首を傾げ持っていた本を見た。


「“仇討ち~憎きあの人を思って~”」

「これ、面白いぞ。両親を殺された兄妹の物語でな、その台詞があるんだ。どうだ?驚いたか?」


 そう言ってラルクは、にっこりと微笑んだ。トラードは、得意気な顔をして言ったラルクの顔を2、3回瞬きをて、少しだけ間が空いた。


「えーっとラルクさん。さっきのは、ジョークと言うことですか?」

「そうだけど?」


 ラルクの言葉に怒るのではなく呆れるのでもなくトラードは、ホッとした顔をし気が抜けたのか安心したのか、力が抜けたように椅子に座りため息をはいた。それを見たラルクは、目をそらし


「本を返しに図書館に行ってくる」

「えー!もう…では、リンゴを買ってきて下さい」


 ラルクは、頷き図書館へと向かった。たどり着いたラルクは、借りていた本を返し新しい本を借りようと広い図書館の中から取り出したのは、歴史書。歴史書と言っても世界が生まれてから現在のことが、書かれている物だ。


「【龍王の欠片】約1億万年に龍王がこの地に封印される前、自ら肉体をバラバラにして世界に散らばした。それは、何時か再生するためだと言われている。鱗の色が白い為“琥珀石(コハクセキ)”と言う宝石として、親しまれていてる。

現在は、龍王、神、精霊のおとぎ話として愛されている名でもある」


 適当に開き、目についた説明文を読み上げ窓から見える空を見る。龍王の欠片のおとぎ話は、誰も知っている。しかしながらこの世界に龍がましてや龍の王様である龍王が居たなんて夢のまた夢であるような感じる人もいる。


 ふと前を向くとエルフの女の子がいた。彼女の名前は、ルリラナ・ハルル。ラルクの幼馴染みだ。


「ラルク、また図書館の来てるのね」

「あ?俺よりもお前、俺なんかと話して、良いのかよ?ハルル家のお嬢様がハーフエルフの俺と居るってバレたらハルル家の品が悪くなるって怒られただろ?」


 そう言ってラルクは、歴史書を閉じ次の本を読み出す。それを見たルリラナは、ムッとした顔で、椅子に座り本を読む。


「ルリラナ」

「私に話しかけないで。“怒られる”でしょ?怒られるのが嫌だから話したくないでしょ?なら話しかけないでっ!」


 ルリラナは、少し張り上げる声で、言った。すると周りの人たち睨み付ける視線を感じたラルクは、ため息をはき


「此処は、図書館だ。静かにしろよ」

「…………」


 ふくれた顔で、顔をそらす。口も聞かない。聞きたくないっと言う顔だ。ラルクは、呆れた顔で、二回目のため息をはき立ち上がる。


「ごめんな。ルリ」

「…まだメデューサの事調べてるの?」

「まーな」

「ラルクどうして…ーー」


 ルリラナがラルクを見た瞬間口が止まる。ラルクは、不思議そうに後ろを見るとルリラナの父親レホルが出入り口に立っていた。レホルは、剣幕な顔でラルクを睨み今でも魔法を使ってラルクを殺しても可笑しくない程の険しく、鋭い目付きでラルクを睨んでいた。


「ラルク・ヴェルク!」


 図書館中に響くような怒鳴り声で、一目散に皆の目がラルクとレホルに集まった。ラルクは、立ち上がり黙ってレホルを見る。


「何度言ったら解るんだ!?うちの娘に近づくな!ハーフエルフの汚らわしい血がうちの娘の評判が悪くなったらどうするんだ!?」

「パパ!止めて!」


 ルリラナは、ラルクの前に立ちレホルを止めるが、ルリラナの思いは、届かずレホルは、ルリラナを突き飛ばしラルクの前で立ち止まった。


「ルリラナじゃなくて、お前の評判だろ?レホルさん」


 ラルクは、不気味に微笑みレホルを睨んだ。レホルは、そんなラルクの顔をみて背筋を震わせたが、周りの目がある。と言う理由から何も感じないような顔でラルクを睨む。しかしラルクは、怯まずレホルを冷静にみる。


「あ!でも、図書館でこんなに目立つ怒鳴り声を聞いた人たちってどう思うだろうな?ここは、静かにする場所で、皆が利用する場所で、そんな剣幕な顔を見た人たちは、どう思うだろうな?レホルさん」


 そう言ってラルクは、何冊かの本を持って受け付けに向かって出て行った。




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