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枯れ葉  作者: 花染
2.欠落した記憶
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7.願い事を叶えるためなら(7)

 ユアの言葉にラルクは、目をそらし少しだけ考えた。


 もし、守りたい人トラードかルリラナが病気になったとする。大切な人を守るためなら死んでも良い。でも、守れない。心が痛い。



「答えなんて誰かに聞くんじゃあ無くて、お前が見つけるものなんだよ。世界は、広いんだ。必ずきっと救う方法がある筈だ」

「……エルフ……」

「俺は、ラルク。そして、ハーフエルフだ」


 始めてみたハーフエルフ。この世で生きるには、一番苦しいと言われる混血(コンケツ)。なのにどうしてこいつの回りには、仲間がいるのだろう?


 ユアは、不思議とラルクを羨ましいと思った。


「……っう」


 倒れていた女性がゆっくりと起き上がり辺りを見て首を傾げながらザックをみた。


「…………えーっと何て言うか…邪魔だったかな?」

「そんなことないですよ。それよりもお怪我は、ありませんか?」

「全然大丈夫!ありがとうね」


 そう言って、枯れたレインボーローズがある方へ歩き座り込んだ。


「…ありがとうね。カガリ」


 目を細め女性は、呟き枯れた花に優しくキスをした。すると周りに咲いていた白い花の花びらが天へと舞い治まり静かな野原へと変わったのです。


「君たちは、どうして蕀の森に居たのかな?」

「それは…」


 女神を捜すめの手がかりを探すためと言ったら信じてくれるのだろうか?


 トラードは、少しだけ考えた。


「人を捜しているんです。きっと誰も捜したことがない人です」

「君は?」

「俺は………アリスを救うため…」


 ユアは、目をそらして言った。それを見た女性は、少しだけ考えた。


「解った。あたしが治してあげる」

「ふざけているのか?バカにしてるのか?アリスは、不治の病にかかっているんだぞ!」


 治せるわけない。治せていたらすでにアリスは、今頃元気にピクニックに一緒に行けた筈だ。


「あのバラは、何でも叶えるバラだけど、君の存在も歴史もなかった事になる。だけどそれは残された人は、幸せなのかな?」

「…………救えるのか?アリスを」


 女性は、にっこり微笑んでユアを見た。


「うん。どんな病気でもあたしは、絶対に治す!だから安心して、大丈夫だよ」


 その言葉に救われたのかユアは、静かに泣き“ありがとう”と優しく微笑んだ。



*+*+*+



 アリスの病気を無事に治した女性は、大きなあくびして、青空眺めていた。それに気づいたザックは、迷いなく女性の所へ向かい躊躇いながら口を開いた。


「ビオラちゃん?」


 ザックは、女性の名前を呼んだ。女性は、にっこり微笑んで


「うん!そうだよ。えーとザックくんだよね?」

「何であの時と変わってないん?あれから20年以上もたっとる。ワシより歳上のはずじゃ」


 20年以上たっているはずなのに20年ぶりなのに変わっていない。まるで彼女だけ時が止まっているかのように姿も何もかも変わっていない事に疑問に思ったザックは、問いかけた。


 しかし、ビオラは、顔色を一切変えずにっこりしたまま。


「うん。そうだよ」

「…………もしかして…何か花に願い事をした?」


 不気味に感じたザック。何年この人は、生きているのだろうか?見た目は、人間でも人間ではない。きっとビオラは、レインボーローズに何か願い事をしたかもしれないと思ったザックは、ビオラの目を見て、言った。


「…………あたしね、ある大きな罪を犯して、それを元に戻すためにここに居るの。

 それを償うためならあたしがあたしで無くなっても、皆があたしを忘れてもこの命が朽ちようとも、それが罰だから」


 そう言ったそのあと風が吹きビオラは、目を閉じた。解っている。やるべき事をやらないとだめなんだ。


 ザックは、ふと思い出した。あの時オレンジ色の綺麗な長い髪をサイドポニーテールをして、片目を髪で隠していた。でも今は、違う。髪の毛を短く切り左右違う色の瞳が、こっちを見てる事がわかる。懐かしいよりもあの時とは、まるで別人に見えた。


「何をしたん?」

「ザルクルフを殺した」


 呟くようにビオラは、言った。驚いた顔でザックは、ビオラをみた。するとにっこり微笑んで


「と言うのは、嘘。あたしの罪の事は、誰にも言えない契約なの。ごめんね。ザックくん」


 どうして、こんなに弱そうな女の子なのに強く感じるのだろうか?ミウもビオラもどうしてこんなにもいろんなものを背負っているのだろうか?ザックは、手を伸ばしビオラの手を握った。


「そうやって、無理に笑わんといて。辛い時は、辛いって言って、苦しい時には、苦しいって言うもんじゃ弱音をはいて、強がらんといてよ。誰かに頼れ。と言う訳じゃけんワシが、力になるけん。何でも頼れ」

「ザックくん…ありがと…でもあの人たちどうするの?」


 そう言われたザックは、少しだけ考えてビオラを見て空笑いをした。


 

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