16.海に愛されたもの(4)
翌日、まだ朝日が差し込もってない時間帯にミウは、目が覚めた。今日は、旅立つ日。しかしそんなことをクロアに言っていない。
「クロアお兄ちゃんになんて言おう……」
自分が背負っているものの事をクロアは、知らない。何年も誤魔化して、嘘をついて笑っていた。死にたくない。生きたい。だから、ミウは、龍王の欠片を集めることをしなかった。でも、その運命が昨日訪れた。
「おはようございます」
「!!!!」
ミウは、声がする方を見ると黒いローブを着た人がいた。声的に男だ。何処からどう入ってきたのだろう。ミウは、睨み付けるように見る。
「君は誰ですか?」
「朱獅子の目」
そう言って不気味に微笑む。
朱獅子の目。不吉な名前だ。しかし、質問の答えになっていない。彼の名前の名前ではないと直ぐに解る。
「名前を聞いてるんですよ?」
「ーーーー」
*+*+*+
ラルクたちが宿から出て伸びをして、空を見る。
「よーし頑張って世界を守るぞー!」
「ルリラナさん元気ですね」
ルリラナは、振り向き微笑み歩き出すが、目の前に慌てた顔をして三人を見る見覚えがる二人が立っていた。ザックとクロアだ。
「ミウを見なかったか?」
「は?見てないぜ…って言うより教会に居るんじゃあねぇのか?」
何かあったのだろうか?クロアに冷や汗が見えおどおどしている。ラルクは、少しだけ考える。
「ミウが、何者かに拐われたんだ」
「え?」
「あの教会にいる教団は、ぎょうさんいるじゃけんど、それを皆殺してミウを拐ったんだ。なんとか辛うじてエルナだけが助かってなワシらに伝えに来たって訳なんよ」
ミウが拐われたんだ。誰がなんのためにどんな理由で?ラルクは、考える。
「ザック。お前は、鬼族だろ?純血なら魔法関知能力が高い筈だし、少しの魔力でも解るだろ?」
「そうなんじゃけど…アハハハ…はぁー」
ザックは、体操座りをしていじけた。ラルクは、首をかしげてクロア見ているとクロアは、ため息をはき
「ミウが気絶してるか魔力を封印する呪印をかけられているかで、正確な居場所が解らないだ」
「そうか…」
居場所が解らないだと?ラルクは、考える。ミウを拐われたと言うことは、狙いは、自分だ。と言う事は、拐われた奴が解る。
「…ミウは、神子じゃけんアークルの騎士がいれば話が別なんだけどな」
「アークルの騎士?」
ラルクたちとクロアは、首をかしげてザックを見る。ザックは、少しだけ考えてにっこり笑う。
「てへ。クロアには、秘密じゃった」
「騎士がいないってど言うことなんだ!?ザックじゃないのか!?」
「まーまー」
ザックは、クロアの肩を掴み落ち着かせるがクロアは、手をはらい睨み付ける。
「どう意味なんだよ!?」
「落ち着けって、ラルクが戸惑っとるけんな?」
クロアは、歯を食い縛りラルクを見る。何故かラルクを見るとイライラする。殴りたくなる気持ちを落ち着かせているといろいろと思い当たる場面が思い出していく。
「騎士ってなんだよ」
「世界には、アークル神子、イフティナの御子、ザルクルフの巫女がいてそれを守る騎士が3人いるんよ。ワシは、前の神子を守る騎士をやっとたん。じゃけど神子が死んだ同時に資格が無くなったん。
ミウを守るはずだった本当の騎士の資格がある奴がいるんじゃけどな…ミウは、それを受け入れる事は、せずにいたって訳」
「見つかるまで、ザックが騎士をやるってわけだな」
「そうじゃ」
ザックは、クロアを見てラルクたちをみる。エルフの女の子にハーフエルフ、人間の3人。ザックは、少しだけ考えてトラードの肩を持つ。
「じゃけんお前が騎士になれ」
「え?」
「え?」
「えええーーー!?ぼぼぼぼ僕ですか!?無理です!」
トラードは、ザックから離れ睨み付けるクロアの目から避け隠れるように壁から除き混む。
「時間がないんよ。じゃけんとりあえず忘却の海の水を飲め!」
持っていた水筒をトラードに渡そうとするが、トラードは、逃げる。
「だから、なんで僕なんですかっ!」
ザックは、深いため息をはきクロアみてトラードを見る。
「本来ならクロアが騎士になる素質があるんじゃけど、ミウがそれを拒否ってるわけなん。どうしてかってクロアは、解るじゃろ?」
「ミウが俺を守る理由?」
ミウが自分を守る理由。クロアは、考える。何時も笑って弱音を言わない。素直で、明るく元気な子。
自分が弱いから?この人間よりも弱いから?
「っ…………!」
ミウを守りたい。でも、それをミウは、望んでない。それよりも早くミウを助けたい。思い通りにならない。イライラする。
「トラード。さっさと飲め」
ラルクは、トラードの首根っこを持ってザックの前に置く。今にも泣きそうな顔でザックを見てクロア見てトラードは、考える。
「…僕は、弱いです。勇者も魔王にも英雄だってなれません。でも、僕がこれを飲んで誰かを守る事が出来るならこれがクロアさんの為になるなら」
悪魔だって魂を売ることを平気で出来るんだ。
たかが水を飲んで、誰かを守る為の力をてに入れることが出来るなんて、普通は、思えないだろう。しかし、トラードは、なにも疑う事もなく、躊躇いもなく水筒のコップに注いだ水を飲んだ。
「どうなん?なんか、ゴワワワワァーっなる?」
「ゴワーってなんだよ」
「ゴワーじゃないゴワワワワァーじゃけん。まーいいや。トラード、手を出しってみ?」
トラードは、言われた通りに手を出してみると、いつの間にか手の甲に亀の刺青があった。ザックは、ホッとした顔で、トラードを見る。
「この刺青は、アークルの騎士の証しでな、これがあるってことは、お前がアークルに認められて騎士になったて訳じゃけんな。これでミウの居場所が解るって訳。落ち着いて、集中して、やってみ?」
「はい」
トラードは、目を閉じ集中をすることにした。
*+*+*+
その頃ミウは、と言うと古びた教会の牢屋にいた。ミウは、目を擦りながら回りをみる。
「此処…知ってる…?」
知らない場所なのに何故か懐かしいと思ったミウは、立ち上がり古い錆びた鉄の扉を蹴ってみるが、そんな壊れるわけがない。むしろ壊れるような場所に閉じ込める方が可笑しい。
するとキーンっと耳鳴りと同時に頭を叩かれるような痛みが、少しずつひどくなり座り込んだ。
「頭が…痛い」
頭痛と何故かわからないが恐怖感が感じだミウは、自分を抱き締めるようにうずくまった。
「クロアお兄ちゃん…助けて…」
怖い。一瞬過ったクロアに助けを求めたが、歯を食い縛り立ち上がる。
「違う…助けを求めないって、決めたんだ…心配かけないって決めたんだ…強くなるって決めたんだ…」
怖くなって逃げ出したくたって誰にも弱音をはかないって決めたんだ。
ミウは、深呼吸をして扉の前に立ち手を前にだした。
「強きほうき星よ我が力となれ」
その言葉に答えるように魔方陣からホウキが出てきてミウは、それをとり扉て構える。どこにもある普通のホウキを空中で円を書き。
「水月」
そう呟いた瞬間円を書いたばしょから、勢いよく水が発射され水圧で扉が飛んでいった。
たぶんきっとハンクが心配していると思ったミウは、走って出口を探しているとあることに疑問に思ったミウは、立ち止まる。
「朱獅子の目…」
何故こんなところに閉じ込め見張りもなしであっさりと逃げることができたのだろう?
ミウは、考える。
「ボクを拐った理由…もしかして」
狙いは、ラルクの中にある龍王の欠片だ。そして、その欠片を取り除く事が出来るのは、ミウだけだ。
「もし、ボクを助けにラルクたちが来たら…」
「貴女の大切な人をアルが殺すかもよ?ね!アル?」
ミウが振り向くと少女と男の人が立っていた。よく見ると少女は、人形だ。何だかの理由で、心をもったのだろうか?
それは、どうでもいい。大切な人を殺すかも?ミウは、静かに睨み付ける。
「ウフフフ…アハハハハ!その顔大好き!もっと見せてよ!」
「ララ様、落ち着いて下さい」
ララと言われる少女は、背中を向け首だけ180度首が回り顔だけこっち向ける。
「落ち着けないよ。大切な人が殺されるのを見て叫び喚く神子ちゃんを想像するともうララちゃん、ゾクゾクしちゃう」
そうは、させない。絶対に確実に正確いやもう二度と動けくなるまで体をバラバラに砕いて跡形もなくまるまで痛みがなくなるまで痛め付けてからゆっくりと殺す。
人形だろうが、なんだろうが関係ない。
「そんなことさせません…!」
大切な人を守るためなら何を引き換えても構わない。死んでもいい。だって変わりなんてこの世に沢山いるから
ミウは、静かにホウキを向け睨み付けた。