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枯れ葉  作者: 花染
1.我が主の心臓
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14.海に愛されたもの(2)

 ラルクたちが教会に居る頃マーキュリーへ戻っているザックは、一人の青年に目を向ける。


「お!クロアじゃあねぇか」

「ザックか……」


 クロアと言われる青年は、一旦ザックの目を見て、目をそらす。ザックは、少し考えてにんまり笑う。


「ミウだったら今忙しいけん、それが終わったら来るじゃろうな」

「そうか」


 素っ気ない返事に首を傾げながらザックは、クロアを見る。


「ミウが、いつ来るかどうかソワソワしてるじゃあ無いんか?」

「っ…………!」

「無言で見つめないで、おじさん照れちゃう」


 ザックは、棒読みでいった。それを見たクロアは、深い溜め息をはき小さい声で


「…会いたくなかったのに…」

「ん?なんか言った?」


 クロアは、少し睨み付けてすたすたと歩き出す。それを見たザックは、ため息をはき。


「クロア」


 クロアが振り向いたのを確認して持っていた小さなウサギの木彫りを投げた。クロアは、慌てて受けとり首を傾げながらザックを見る。


「ミウにあげるつもりだったけんどワシよりもお前があげた方が喜ぶと思うけんあげといて」


 ザックは、手をヒラヒラと降り笑顔で立ち去った。


「…………」


 クロアは、少し辺りを見て嬉しそうにポケットに入れミウが居る教会へと向かった。



*+*+*+



 ラルクを連れて向かった先は、教会の裏側にある大きな湖。ハンクは、ラルクをベンチに寝かしどっから取り出したのか解らないがコップをミウに渡す。


「此所は、アークルの力の源である“忘却の海”と言われる湖です」

「湖なのに海?」

「かつて此所は、海でしたが地震なので陸地に囲まれ出来た湖なんです。海であって海ではない。“海であることを忘れてしまった湖”と言う訳でその名がつけられたと言う訳です」


 ミウは、渡されたコップに湖の水をすくい二人に見せ真剣な顔で見る。


「この水で、ラルクの中にある龍王の欠片を封印することが出来ます。だけどこれは、ラルクにとって毒。死ぬ可能せいもありますし助かるかもしれません。それでもこれを飲ませてラルクを守りたいですか?」


 混じりけもない透き通った綺麗な水。これを飲ませたらラルクを助けることが出来るのだろうか?


 トラードは、考える。ルリラナは、考える。


「飲ませます」

「ラルクが死ぬかも知れないのよ!?」

「はい。それでも僕は、ラルクさんを信じていますから」


 トラードは、ルリラナに微笑みかけコップを受け取りラルクのところへ向かった。しかし、ルリラナは、コップを取り上げトラードを見る。


「だったら…私がやる…私だってラルクを信じてるから」


 ルリラナは、深呼吸をしてラルクに水を飲ませた。


 するとラルクは、目を覚まし起き上がって辺りを見る。


「此所は…?」

「初めましてラルク。ボクは、アークルの神子であるミウと言います。話は、だいたい把握しています。龍王の欠片のことですね」

「!!!!……ああ…」


 ラルクは、ルリラナとトラードを見て目をそらしミウを見る。


「ラルク…」

「っ……!トラード、ルリラナ…少しだけ外れてくれ」


俯いたまま目を合わさないラルクにルリラナは、何を言って良いのか解らさずトラードと共にその場合後にした。


「ミウ…俺、どうしたら良いんだ?」

「………今、アークルの力で龍王の力を無理矢理と言って良いほどの強い封印術をかけた水をラルクに飲ませています。


 なので…全ての龍王の欠片を体内に取り込んでこの地に封印するのを手伝って下さい」

「俺が人柱になって永遠眠れってことか?」


 ミウは、微笑みながら首をふる。


「違います。ボクが人柱になってこの地に永遠眠るです」

「み、ミウ!?ど言うことなの!?ワタシ聞いてないわよ!」


 ハンクは、ラルクを突き飛ばしミウを見る。ミウは、平然の顔で湖の前に行き


「ボクは、体内にある龍王の欠片を取り除くことが出来るんです。しかし、体内にあると言うことは、その人の体の一部なんです。心も目も声も心臓も変わりが必要なんです。


 だからボクは、ずっと悩んでいたと言うよりも恐れていたんです。でも、今日ルリラナたちと出会って思ったんです。


 誰かを守りたいのにこの世界を守りたいのに何を悩んでいたんだろう?って」


 誰かを守るために誰かを助けるために自分を犠牲にするミウ。ラルクは、少しだけ目をそらしミウを見た。


「だから、一旦俺を封印して最後に取り込んで交換するつもりなのか?」

「はい」


 明るい笑顔で、ミウは、言った。


「どうしてそんなに笑顔で言うのよ!?アナタ死ねって言われているのと同じなのよ!?ワタシは…ワタシは…!」

「エルナ、これがボクの定めなんです。大丈夫ですよ。希望は、何時も(ココ)にあります。辛くても苦しくても希望が心にあれば、笑っていれば何時か幸せになるんですよ」


 ミウは、そう言って涙を流しながら座り込むハンクを優しく抱き締めた。


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