28.2つの魂、1つの心(4)
ララの言葉により動き出す人形兵。それを見たナムは、ラルク達にこう言った。
「あれは、ニャムがコンバットとしていた時に作って集めた物。闘技場で、出来た魂のカケラ集めてを繋ぎとめて、人形に貼り付けた偽物の命ニャんだ」
ナムは、エルフを殺していく人形兵を見て悲しい顔をした。
「ニャムは、ニャんて事をしたんだ。結局、みんニャに……ジュランに迷惑をかけるニャんて……」
小さく呟きララを見た。サラは、何時も優しかった。かけた心を取り戻すよりも側にいる事を選んでいた。しかし、ララは、違っていた。欠片を半分にするじゃあ無かった。
後悔が、胸を締め付ける。
「ララちゃんは、人間になりたかった。普通の何処にもいる女の子に何たかったの。そして、この子達だって同じ。人になりたかった。
貴方だって人間になりたかったのにララちゃんたちを中途半端にして、飽きたからって棄てた!
だから許さない。ララちゃんたちは、貴方もラルクも…全ての生き物を許さない」
その言葉にナムは、涙を流した。この人形たちは、人になりたかった。それは、多分きっとナムの心と同じだからだ。ナムもまた人になりたかった。だから、コンバットの姿になっていた。だから、アークルに願った。記憶本来の記憶も心も預ける代わりにコンバットになることによって、力を得る事が出来た。
するとララは、ナムの前に立ちニッコリ微笑んだ。
「貴方を味方する人は、居ない。貴方は、全ての人を傷つけた。悲しめたの。だから、死んで償いない」
そう言って、サラが持っていた大きなハサミを取り出し、首をちょん切った。しかし、舞い上がる地は、赤い薔薇の花びらをなりちょん切った体も落ちた頭も一瞬にして花びらと変わった。
「何?!」
ララが辺りを見ると、一面に花びらが舞い上がり視界を奪う。その瞬間にララは、思った。これがバルキニーの力だと
「勇気の精霊バルキニー。フフフ…貴方もララちゃんと同じ!でも、どうして、貴方は、ここに居られるのかな?」
ララは、辺りを見ていると一瞬花びらの動きが乱れた所に鞭を振った。するとそこからビオラご現れ倒れこむ。舞う花びらが消えララは、ビオラを見ながらラルクたちにこう言った。
「知ってる?この人は、あの悪夢を呼び起こした王アイスローズ王の娘。そして、このホヌ帝国とルティス王国の前王を殺した張本人。
彼女は、世界を平和にするためなら何でもする。世界の為なら何でも惜しまない」
その言葉を聞いてヨモギは、ビオラを見た。ルティス王国の城内をよく知っている理由も、あの時あっさり解放された理由もそして、父親と前王ハートイルが死んだ理由もビオラが関係していると考えれば、話が繋がる。納得できる。
「どうしてそれを知っているの?」
「さぁどうしてかな?」
そう言って、槌でビオラを叩きつけた。解っている。ビオラは、自分の罪も自分がやって来たことも全て解っている。
「お前さんが父を……」
ヨモギは、歯を食いしばり気持ちをおさえた。きっとビオラは、何か理由があって、そうしたのだろう。そう言い聞かせながら迷いながらヨモギは、ララに武器を向けた。
「どうして、ララちゃんにそれを向けるのかな?貴方の父親を殺したのは、あの人“バルキニー”なんだよ?もしかしたら、弟も殺したのは、あの人かもしれないだよ?」
「そうかもしれない。でもイフティナは、こう言っていた。『バルキニーは、誰も出来ない事をいつも一人で戦って来た。私たちのために世界の為に戦って来た。守って来た。だから、バルキニーを守るのが、私の役目』だと言っていた。イフティナの御子と騎士は、イフティナ自身もイフティナが守ろうとしているものも守るのと誓ったんだ」
あいつも同じだ。例え屍だとしても、志は、同じだ。
「オイラは、ビオラを守る」
そう言って、ララに向けてエンジェルリングを投げた。ララは、交わしたが、間に合わず髪の毛が少しだけ切れた。
ビオラは、ふらつきながら立ち上がりヨモギを見た。
「戦えるか?」
「うん。まだ行けるよ」
ビオラは、自分の顔を叩き土埃を叩いてニッコリ微笑んだ。それを見たラルクたちも武器を構え再び戦い始めた。
「面白くない……」
そうララは、小さく呟いた。