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枯れ葉  作者: 花染
4.戦争になっても
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26.2つの魂、1つの心(2)

 ルリラナが、ラルクの家へと帰ると、既にトラード達がいた。皆が集まった事で、やっとこれからの話が始まった。


「本当に良いのか?ヨモギ」

「ああ。オイラは、構わない。もう覚悟は、出来ている」


 ヨモギは、強く手を握りしめラルクを見た。ヨモギの覚悟。それは、弟を殺す事。そして、自身が王となる事。


 そんな覚悟を理解したミウは、頷いた。


「解りました。では、これからの作戦を言いますね。

 帝国軍を率いる隊長を倒すのと、皇帝陛下を殺す事がボクらが勝つためのに必要なことです。戦力や軍勢に置いては、まだ解りませんが…多分きっと、これまで戦いと比べ強敵で立ち寄る村や町もないでしょうから十分なアイテムや食料の補充は、した方がいいでしょう」

「そうだな。此処は、ナムの力を借りるしかないな」


 ラルクの言葉にナムは、耳をピクッと動かしてみんなを見た。


「解った!ここは、ニャムに任せろ!ニャムは、幸を呼ぶ猫の王!絶対に不幸にニャらニャい!」

「頼りにしてるよ」


 ビオラは、そう言ってナムの喉仏を触った。ナムは、ゴロゴロ言いながら気持ち良さそうな顔をした。そんなナムを見てミウは、ニッコリ微笑み今度は、ミウまでもナムを触り始めた。


「ふニャー気持ちいいニャ〜。もっとやって〜」

「この猫に頼って大丈夫なのか?」


 ヨモギの心配をよそにミウは、ナムを抱きしめニッコリ微笑んだ。


「アディーの件は、彼女なりの覚悟と選択で死を選びましたが…現にラルクとルリラナは、無事です。だから、信じて頼っても良いかとボクは、思いますけど」

「猫に頼るか頼らないかは、別として、そろそろ行った方が良いと思うけど…」


 その言葉にハッと思いヨモギは、窓から外を見た。


「また二手に分かれるのか?」

「いいえ。今回は、全員で向かった方がいいかと」

「そうじゃな。んじゃ行くとするかな」


 ザックは、そう言って外へ出て行った。それを見たミウ、ビオラ、ヨモギ、ルリラナは、あとを追うように外へ出て行った。ラルクは、さっきからトラードの様子がおかしいと思い近づいた。


「どうした?」

「………ラルクさん…どうして貴方は、ザルクルフの欠片…龍王の欠片を持つことが出来るんですか?」


 トラードの質問は、いつか聞かれるだろうと予想していた。解っていた。理解していた。ラルクは、目をそらし少しだけ考えた。


「ミウさんから欠片は、死んだ人や人形しか持つことが出来ないと聞きました。それほどの力で、それほどの負の感情が込められていると言っていました。でも、ラルクさんは、生きているし人形でもない。


 ラルク、貴方は、何者なんですか?」

「……確かに俺は、死体でも人形でもない。俺が、龍王の欠片を取り込むことが出来る理由は、ザルクルフの生まれ変わりだからだ」


 トラードは、ラルクの発言を予想していた。解っていた。理解していた。でも、それでも間違いだとあって欲しかった。目をそらし少しだけ考えた。


「じゃあ全ての欠片を取り込んだらどうするんですか?」

「トラード。俺は、俺だ。過去がどうであろうとも俺が帰る場所は、此処しかないんだ」


 そう言って、微笑んだ。トラードは、再び考えて、何か決心がついたのかラルクを見た。


「僕は、弱くて未熟で何時も間違いをして、ラルクさんに何度も迷惑をして、何も取り柄がないけれど…僕は…僕は、兄弟として側にいても良いですか?」

「トラード…」


 ラルクは、少しだけ間が空きトラードの真剣な顔に思わず吹き出し笑い出した。訳が分からないトラードは、首を傾げそんならラルクを見ていた。


「ごめん。何なプロポーズみたいでつい」

「プロ…っ!」

「ありがとうな。俺は、出来の良い弟がいて嬉しいと思ってるぜ」


 そう言って微笑みながら言った。トラードもそんなラルクの笑顔を見て微笑み


「僕も頼もしい兄さんがいて誇らしいですよ」

「言うな〜」

「ラルクさんだって」


 二人は、笑い合っている途中その二人を見ていたミウは、いつ声をかけようか悩んでしたが、そろそろ言った方が良いと勇気を出して、こう言った。


「男同士で、何をやってるんですか?BLですか?BLなんですか?キモいですかけど、ドン引きなんですけど」

「うお!?いつから居たんだ?」

「初めからですけど」


 ミウの発言にトラードは、顔を真っ赤にして、恥ずかしそうにして目をそらした。それを見て、ミウはニッコリ微笑み


「トラード、もしかしてそんな趣味が…っ!」

「違いますよっ!僕は、普通に女の子が好きです!」

「どんな?」


 ミウの顔が近づくたび顔が赤くなり戸惑うトラードを見てラルクは、ニッコリ微笑んだ。


「トラード、此処は、ちゃんと白黒つけた方が良いぜ」

「ええー!?そんな…解りました。言いますよ。言えば良いですね」

「あ、すみません。ボクは、トラードが好きなのが男だろうが女だろうが興味ありません」

「えー…」


 困った顔をして、トラードは、ため息を吐いた。そんなトラードを見たミウは、ラルクとトラードの手を握りしめニッコリ微笑んだ。


「帰る場所が同じならもう君たちは、家族です。お互い思いやって、笑いあって協力しあって…喧嘩して、血の繋がりとか関係なく友達以上の恋人未満の関係と言える君たちは、もう兄弟ではないでしょうか?ね?


 ルリラナ」


 そう言ってミウは、ドアを見た。トラードとラルクは、お互いの顔を見て首を傾げた。すると恥ずかしそうにルリラナが現れた。


「いつから居たんだ?」

「ミウと一緒にずっと」


 顔を真っ赤にしてルリラナは、目を合わさないようにしていた。別に隠れて聞いていたわけではない。そう言いたかったが、ミウみたいに素直になれない彼女は、ラルクを指してこう言った。


「私たちは、あんたが何者かなんて関係だから。あんただけで悩むじゃなくて、私たちに相談しないよ」

「!!……そうだな。俺が間違っていた。お前たちは、何時もそうだったな」


 そう言ってラルクは、微笑んだ。そんな会話を聞いていたビオラたちは、扉の向こうで3人で考えていた。


「あいつが、ザルクルフの生まれ変わりだなんて、気づかなかったな」

「そうじゃな。

 じゃけどあいつらは、まだ子供だ。いくら大人びいた事をしてもまだ子供じゃけんわしらが、守らんとな」


 ヨモギとザックは、頷きその場を離れた。ビオラは、目をそらし1人だけ遅れて2人を追って行った。


 そんな3人を知らずラルクたちは、待たせた事に反省しながら走って後を追う事にした。


「すみません。遅くなりました」

「皆んな。準備は、良い?」


 ビオラの質問に皆は、頷きそれを見たミウは、手を上げてこう言った。


「それでは、皆で力を合わせてレッツゴー!」


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