8.孤独な女王(2)
ふと、何やら大きな影が横切った気がしたラルクは、空をみる。すると、空には、多くの魔物が飛び回っていた。
「魔物だーーー!!」
「何で、ルティス王国に空を飛ぶ魔物がいるのよ!?」
騒ぎだす周囲の人たち。ラルクは、目を細目ながら空をみる。
ポルテナは、二つの国で別れていると同時に魔物は、三種類の魔物に別れているが、住む場所が決まっている。地上の魔物は、ルティス王国にしかいない。そして、空を飛ぶ魔物は、ホヌ帝国にしかいない。
「うわー!助けてくれ!」
「地上にも魔物が…!」
どういう事だろうか。高い門と町を守っている外壁があると言うのに街に魔物がいる。空から地上から魔物が襲ってくる。街の人々は、パニックになり叫び声が響き渡る。
「た、大変だ!門が開いているぞ!」
「兵士は、どうしたんだ!?」
「何者かに殺されています!」
っと言う事は、この街の何処かにに魔獣使いがいる事が解る。解らないのは、何故この街を襲ったのだろうか。ラルクは、考える。
考えている途中に突然目の前に現れた魔物。するとナイフが飛び回り魔物が倒れた。
「怪我は、ないか?」
「え?あ、ああ…ありがと」
ナイフが飛んできた先を見ると、少し先に歩いていたミコトとサンだ。ミコトの腰には、ナイフと小刀がありミコトは、サンの手には、銃を持っていた。ミコトは、近寄ってくる魔物を躊躇いなく蹴り飛ばしナイフを投げつけ後ろから襲いかかる魔物に気が付きサンが銃で殺し得意気な顔で、ラルクを見た。
「王女が戦うのかよ!?」
「む?問題あるか?」
「おい!ミコト様になんて口を聞いてるんだ!?」
「ミリアって強いだね」
「っておい!」
サンは、ミコトの前に立ち3人を睨み付ける。ミコトは、呆れた顔でサンをみる。
「サン。貴様は、片っ端から魔物を殺し街の民を守れ。俺は、ラルクたちと共に魔物の発生場所を探しす」
「えー!」
「民を守るためだ」
「解りました…」
サンは、ラルクを睨み付け立ち去った。ミコトは、少し考えフードを深く被る。
「あいつ、大丈夫なのか?」
「あいつは、方向音痴だが、戦いについては、問題ない」
国を守る王女は、誰よも孤独で寂しい筈だ。しかし誰よりも国を愛している。そんな彼女を信頼し尊敬をしているサンは、強くなりたいと願った。守る強さ。自分と似ている願い。
ふと目の前に魔物が現れたことで、ルリラナは、考えるのを止めた。
「天空から舞い降りた影なる天使、我が声を聞き我が力となれ…ーーーーホーリーエンジェル」
ラルクの呪文に応えるように空から雷のような青い光が無数堕ち魔物に当たる。光の魔法だ。ルリラナも負けじ手を上にあげ
「全てを切り裂く風の刃、我が矛となり盾を切り裂け…ーーーーサイクロン」
風が舞い始め大きな竜巻が現れ空の魔物と陸の魔物を飲み込んでいく。風の魔法。ラルクの魔法もルリラナの魔法もどちらも上級魔法だ。
二人の魔法のお陰で何割かは、魔物は、減ったがまだまだだ。ミコトは、考えながら3人を連れて発生場所を考える。
「もしかして、召喚陣が何処かにあるでは、ないでしょうか?」
「召喚陣だと?」
万が一そうだとすれば、納得出来る。多くの魔物がこんなにいると既に大騒ぎになっている。
そうとなると何処にあるのか何処が魔物が多いのか考える。
「噴水広場…東門、それから城の庭…?」
「魔法感知能力か?」
魔法感知能力。鬼族の特殊能力であり、調べたい魔力を感じとる能力だ。
ラルクの質問にミコトは、目をそらし
「ハーフでも鬼族だからな。鬼族の特殊能力は、受け付いてるんだ。
ラルク、貴様は、俺についてこい。エルフは、魔方陣を消すことが出来るんだろ?」
「ああ」
トラードとルリラナ、ミコトとラルクと別れ魔方陣を壊すことにした。
トラードたちは、近くの東門に向かい、次に近い噴水広場へ向かった。