想いあふれて
真夜中の更新をお許し下さい!!
今日も一日の仕事を終えて、いつも通りに帰ろうかと思って玄関を出た時だった。
「…滝?」
「お疲れ様です」
玄関を出たところで、滝が壁に寄りかかって立っていた。見たところ、俺を待っていたらしい。
「どうした?」
「えっと…ちょっとお話が…」
「話?」
なんだ?
同じ地下鉄で帰るので、帰りながらでもいいという滝に甘えて、とりあえず駅まで歩きながら話を聞くことにした。
「で、話ってなんだ? 勉強のことか?」
「いや、そーゆーわけじゃないんですけど、ちょっと確認というか確かめたいことがあって…」
「確かめたいこと?」
そんなに授業で難しいことやったかなぁ、などと頭の中でぐるぐると考えてみたが、何も思いつかなかった。もともと成績の良い滝だから、勉強でつまづくというのはあまり考えられない。
だとしたらなんだ?
「えっと、その…ぶっちゃけて聞きますけど、先生と吉田さんって付き合ってるんですか!?」
ぶっ飛びすぎだろ。
なんでそんな発想になった?
「さ、最近吉田さんと仲いいみたいだし、その、なんか生徒と教師っていう垣根を越えてるようにも見える時があるんです! で、実際のところどうなんですか!?」
俺は大きなため息をついた。
「俺は吉田とは生徒と教師以上の関係にはなってないし、付き合ってなんかいない」
「本当ですか?」
「嘘ついてどうする。第一、俺は彼女いるんだぞ? それに生徒に恋をするわけないだろ」
と、言ってから思い出す。
恭子と付き合ってるのは誰なのか、と。
この際、自分のことは棚に上げておこう。神棚の上にでもおいておこう。細かいことはおいておこう。
「まぁそうですけど…」
「なんだ? その言い方だと、吉田のことが気になってるふうに聞こえるけど」
「別に気には…いや、これは友達として気になっているだけであって、そーゆー深い感情はないです!」
慌てて否定する滝。
よかったな吉田。お前ら、両想いだぞ。
だけど言うわけにはいかない。生徒二人の恋路に教師がキューピットになってどうする。何もしないで見守るのが教師ってもんだろ。うん。
「まぁ別に俺としては吉田が誰と付き合おうが、滝が誰と付き合おうが構わないんだけどさ、俺は関係ないからな。俺は彼女一筋だし、他の異性を好きななるのであれば、絶対に娘が大事だからな」
「そっか…武田先生は親バカなんだった…」
少し考えこむ風につぶやく滝。
ちょっと心外だが、思い当たる節がありすぎるのと図星なので、何も言えなかった。
「まぁそういうこった。だからそんな風に考えないでくれ。職員会議になりかねん」
「そうですか。なんか変なこと聞いちゃってごめんなさい」
「いいって。気にすんな。恋多き高校生は得してるんだからな」
「そうなんですか?」
「なんかほら、若い時だからできる恋ってのもあるだろ。それを一番楽しめるのが高校生だと俺は思ってるわけだ」
「へー。先生も高校時代は恋多き高校生だったんですか?」
「あー…」
…通算2人か。でも名前も思い出せない。
「それなりにな」
「先生モテそうですもんね」
「そんなお世辞はやめろい。男から言われても何とも思わんわ」
「可愛い彼女もいるじゃないですか」
「まぁ、な」
「そこは認めるんですね」
「間違ってないし、否定する要素がないからなー」
恭子のことを褒められるとなんか嬉しいし。
「滝はそーゆー人はいないのか?」
「えっ!? それ聞いちゃいますか?」
「散々俺のことを聞いたくせに」
「いや、まぁ先生なら口硬そうだからいいかな…」
「俺は言うなって言われたら墓の中まで持って行くぞ」
「そこまで持っていかなくても…まぁお察しの通り、吉田さんが好きなんですけどね」
「おー」
「なんか放っておけないんですよ。で、いつも見てるうちにこーなんていうか、そーゆー感情が芽生えてきたっていうかなんていうか。吉田さんって、あんまり周りから見たら笑ったりしないですけど、面白いじゃないですか。そこがなんか可愛くて…」
そう言って顔を真っ赤にする滝。
あー、青春だなー。これが青春だよなー。
俺も思わずニヤニヤしてしまう。
「ちょっと! ニヤニヤしないでくださいよ! 恥ずかしいじゃないですか!」
「いやいや。滝が悪いんだろ。そんなに顔真っ赤にされたらこっちもニヤけるわ」
「ダメですからね! 絶対に誰にも言わないでくださいね!」
「言わないっての。安心しろ」
「絶対ですからね!!」
何度も念を押す滝を、俺は『青春だなー』と思いながら、誰にも言わないようにすることを胸に誓った。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
感想とか書いていただけると嬉しいです。
やる気が起きなくて書いてませんでした。ごめんなさい。
そしてこの時間の更新、ごめんなさい。
ジョジョのゲームはもう飽きました。ごめんなさい。
でも全キャラ出しました。褒めてください。
次回もお楽しみに!




