どきどき
「おはよ」
「あ、おはよう」
キララちゃんとヒロトくんが付き合い始めてからというもの、何かと気を使ってしまう。
その中の一つで、朝の登校は四人で行ってるんだけど、前にキララちゃんとヒロトくんが腕組んで歩いてるのを、私と怜央くんがその後ろで見ながら歩いている。
前までならその組み合わせはランダムだったんだけど、最近はこれが定着している。
「……」
「……」
私は怜央くんが好きだ。
でもそのことに気づいてしまってからは、なんだか変に意識しちゃって言葉に詰まってしまっている。
今もこうして無言が続いている。
元々そこまでお互いに話すほうじゃないんだけど、なんか恥ずかしい。
チラッと怜央くんの横顔を見てみると、前の二人を見ながら呆れたように笑って…あれ?
「怜央くん、背伸びた?」
あんまり意識してなかったけど、怜央くんの顔の位置が前よりも高くなっている気がした。
前よりも見上げる角度が上がった気がした。
「伸びたよ」
「やっぱり! どのくらい伸びたの?」
「んー。小学校卒業してからは十五センチは伸びたかな」
「そんなに!?」
全然気付かなかった。
「武田さんも伸びてるからじゃない?」
「言われてみれば…。一緒に伸びてるから気付かなかった、とか?」
「そっか!」
私も小学校卒業してからは五センチくらいは伸びたと思う。今度の健康診断が楽しみー。
「みんな大きくなってるんだよね」
「だって来年は高校生だよ?」
「キララちゃん達と違う学校なんだもん。なんかさみしいな」
と、私の声が聞こえたのか、キララちゃんがクルッと振り返って、私に飛びついてきた。
「私、頭悪くてごめんなさい!」
「仕方ないよ。それは前からだもん」
「グハッ! なにげにひどいこと言うわね、瑠璃」
「キララちゃんが自分で言ってたんでしょ」
「でも瑠璃と怜央と学校が別れちゃうのはさみしいなぁ」
「ねー」
「でも会おうと思えば、家近いからいつでも会えるし」
「うん。とりあえずは受験頑張ろうね」
「バカは勉強しないとな」
「ヒロトも人のこと言えないけどね」
「大丈夫だ。怜央が教えてくれるからな」
「そうだよ! 私も瑠璃が教えてくれるもん!」
「私も?」
そう言って、私と怜央くんは顔を見合わせて笑った。
今はまだみんなと一緒にいるほうが楽しいから、このままでいいって思える。
この関係を大事にしたい。
短いですが、四人の日常をば。
次回もお楽しみにー




