積雪
朝起きると、ベランダに雪が積もっていた。
寒い寒いとは思っていたけど、やっぱり雪が積もった。
でも『うおー! 雪だー! イヤッホォオオオオオオウ!!』となることはなく、ストーブをつけてから、いつものように瑠璃ちゃんを起こしに行く。
コンコン。
「瑠璃ちゃん。朝だよー。入るよー」
ドアノブを回して部屋に入る。
まだ俺に起こされないと起きない。全く、子どもじゃないなら、そろそろ自分で起きてもいいと思うんだけどなぁ。まぁ俺が甘いせいもあるんだけどさ。これからあと何回こうやって起こせるのかを考えると、なかなか注意できない。親としては失格だろう。
いつものように布団を鼻の下まで持ち上げて、スースーと寝息を立てて寝ている。
そんな瑠璃ちゃんを起こすのが日課になっている。
「瑠璃ちゃーん。朝ですよー」
「んん……」
「外も雪積もってるよー」
「ん…寒い…」
「そりゃ雪積もってるからな。冬だし。ほら、そろそろ起きなさい」
「んー…」
眠たそうな目を開いて、こすりながらピントを合わせる。
「はい、おはよ。起きた?」
「おはようございます。起きました」
「よろしい。じゃあ着替えて顔洗っておいで」
上半身だけを起こして首を縦に振った瑠璃ちゃんは、また目をこすっていた。
とりあえず部屋を出た俺は、そのままキッチンへと向かい、朝ごはんの支度をする。
作り置きの味噌汁と、納豆ご飯、簡単なサラダだ。
一通りの準備が終わると、寝ぼけ眼だった瑠璃ちゃんが制服に着替え終わって、あくびをしながら食卓につく。
「顔洗った?」
「食べてから洗う」
「また髪もそんなにボサボサで。年頃の女の子がそんなんでいいの?」
「あとでやるってば。いただきまーす」
最近、瑠璃ちゃんの朝の時間の流れが遅くなりつつある。体内時計が遅くなっているだけで、実際の時間はキチンと動いているものだから、いつも遅刻していないかどうかを気にしてしまう。でも瑠璃ちゃんを信じて聞かないようにしている。…遅刻常習犯だったらどうしよう。
まぁ瑠璃ちゃんに限ってそんなことないか。
ぐるぐると納豆をかき混ぜて、ご飯にダバーする。それをパクパクと食べる。
「最近、学校どう?」
「んー、あんまり変わってないよ。テストが近いくらい」
「勉強…って言っても瑠璃ちゃん毎日してるもんね」
「うん。ぎりぎりになって焦ってるのは、キララちゃんとヒロトくんくらいだよ。私も怜央くんも亜里沙ちゃんもちゃんと勉強してるもん」
「さすが玲央くん。またトップなのかなぁ?」
「頭いいもんね。私は勝てる気がしないなー」
小さくため息をついてそう言う瑠璃ちゃん。
「でもまぁ勉強は勝負じゃないし、今回もキララちゃんたちに勉強教えるんだー」
「すっかり先生だね」
「怜央先生もいるよ?」
「ハハハ」
仲良しだねー、とはなんとなくいうのをやめた。
朝食を食べ終わり歯を磨いていると、瑠璃ちゃんもやってきて隣で一緒に歯を磨いた。
俺の方が一足先に磨き終わり、スーツに着替えて出勤する。
「じゃあ行ってくるね」
「ん。いってらっしゃい」
「瑠璃ちゃんも遅刻しないようにね」
「うん」
「車にも気を付けてね。じゃあ行ってきます」
「うん。いってらっしゃい」
瑠璃ちゃんに見送られて家を出る。
マンションを出ると、路面が真っ白でとても歩きにくい。
俺は転ばないようにだけ気をつけながら、学校へと向かった。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
感想とか書いていただけると嬉しいです。
またオチませんでした。
最近、新作のプロット(←ここ重要)を考えてます。
きっと人生初プロットですww
次回もお楽しみに!




