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元カノ、襲来。

今日も学校の職務を全うし、いつものように地下鉄の改札口に向かうために地下道を歩いていた。

北海道は寒く、ただ寒かった。もう地上を歩くのは極力控えたくなるようなそんな寒さだった。

まだ11月とはいえ、毎年思うけどこの寒さは酷い。しかも風が強いから余計に寒い。

でも地下道が発達してきているから、札幌駅からすすきのぐらいまでなら地上に一歩も出ないで行くことができる。信号待ちも無いし、一本道だ。方向音痴の人にも『あ、ここまっすぐ行けばすすきのです。地下鉄? ややこしいんで歩いて行ったほうが迷わないですよ』と案内してもいいと思う。

そんな地下道の途中でのことだった。

ふとすれ違う人に目を向けたとき、相手もちょうどこちらに目を向けたようで、ばっちりと目が合ってしまった。普通ならそれで終わりなのだが…


「正親?」


その人の口が動いて声をかけられた気がして、その人を見ながら足を止める。

呼んだ…よな?


「やっぱり正親だ! うわー、久しぶり! 覚えてる?」

「…いや、ちょっと誰かわかんなぐふっ!!」

「元カノの顔を忘れるっていうのはどういうことなの?」

「いきなり腹パン…思い出したわ」

「不本意すぎるわー」


挨拶がてらの腹パン|(腹部に向かって鉄拳制裁を繰り出すこと。ボディーブローとも言う)をしてきたのは、何を隠そう、この武田正親の元彼女である。

大学の時に付き合ったのだが、1年と持たずに別れてしまった。

原因は、この暴力である。


「…相変わらず手が早いこと」

「人を淫乱呼ばわりはやめてくれる? 少なくとも教師なんでしょ?」

「お前だって教師だろうが。そっちの意味じゃなくて、暴力のほうの意味だよ」

「あーそっち? こう見えても護身術習ってたからね」

「明らかに護身じゃなかったよね。ぶつけにきてたよね」

「時には先に仕掛けることも必要なのよ」

「俺も護身術習おうかな」


特にケンカ別れというわけでもなかったので、こうして普通に話せている。

でもこいつは口で語るよりも、先に拳で語りにくるタイプで、口より先に手が出てしまう系女子だ。何度肩パンされたことか。


「まぁ挨拶はこの辺にして、最近どう? ってゆーかどっか寄ってかない? 居酒屋とかでもいいけど」

「あー……」


今日は帰って、瑠璃ちゃんに勉強を教える予定なのだ。

今日の朝に、『正親さん、数学でわかんないところがあるの』と行く直前に言われたもんだから、速攻で仕事片付けて来たのだ。


「ちょっと今日は予定がありけり」

「どんな予定がありけり?」

「そこは流せよ」

「いいじゃない。私と正親の関係でしょ?」

「その握りこぶしやめろ。娘が待ってるんだよ」


俺がそう言うと、すごい驚いたような顔で俺に詰め寄ってくる。


「はぁ!? 結婚してるの!? なんで教えてくれなかったのよ!」

「結婚は、してない」

「はい? 最近流行りの二次嫁的な?」

「二次嫁? なんじゃそりゃ。色々あって、養子にしたんだよ」

「養子? 正親が?」

「…悪いかよ」

「別に悪くないけどさ。ちょっとビックリした。なんでまた?」

「理由は話せん。悪いな」

「そっか…」


今までの勢いはどこへやらといった感じで少しさみしそうに笑うと、軽く肩をパシッと叩いた。

たしか別れを告げた時もこうやって肩を叩かれたことを思い出した。


「私には話せない、か」

「まぁそういうことだ」

「じゃあ話せるようになったら話してね」

「覚えてたらな」

「そこは覚えてなさいよっ!」

「あぶねぇ!」


腹にパンチを受けそうになったが、自慢の反射神経で見事に受け止めた。我ながらナイスガード。


「じゃあ私あっちだから。元気でね」

「おう。お前もな」

「そういえば宏太くんは元気?」

「宏太? 多分元気だろ。なんで?」

「いや、ちょっとあってね。じゃあまた」

「じゃあな」


そう言ってまた元歩いていた道を元きた方向へと歩いていく。

それにしても急に宏太の名前なんか出してどうしたんだ?

たまには連絡でもとってみるか。

そう思ってスマホで宏太に連絡を入れてみた。


『元気かー?』


しかし、家に着いても、夜が明けても、なかなか連絡が来ることはなかった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


タイトルはラブライブ的なノリで。


次回もお楽しみに!

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