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ぼやき

夜10時。


「瑠璃ちゃん、寝ちゃったね」

「まぁ朝早くから楽しみにしてたからな。良い子は寝る時間だし」

「えへへ」

「…なんだよ」

「いやぁ、私ってば愛されてるなぁって思ってさ」

「HAHAHAHAHA」

「なにその笑い方。まぁまぁ一杯どうぞ」

「ワイングラスにそんなに注ぐなっておっとっと」

「どうせ飲むんだからたくさん入れても、少しずつでも同じじゃん」

「ワインはそーやって飲むものじゃありませんー」



10分後


「でもさ、俺も思うわけよ。こんな親でいいのかなぁって」

「飲ませすぎたか…。完全に酔ってるし」

「聞いてんのか?」

「はいはい。で、なしたって?」

「俺みたいな親でいいのかってこと」

「いいんじゃない? 誰も不満は言ってないみたいだし」

「不満なんて言わないだろ。瑠璃ちゃんがしっかりしてるんだもん。瑠璃ちゃんは偉いよ」

「ホント瑠璃ちゃんってしっかりしてるよね。でもちょっと天然すぎるかなーって感じ」

「そうなんだよ。しっかりしてるんだよ。だから俺じゃなくてもこんな感じになったんだなーって思うと、俺じゃなくても良かったよなって思うときがあるんだ」

「そんなことないって。自分にもっと自信を持ちなよ」

「そうは言うけど、急に親になった俺の気持ちってわかるか? こう見えていろいろと考えてたんだからな。瑠璃ちゃんと過ごすことになったはいいけど、どうやって育てていこうとか、何考えてるんだろうとか、変なこと言わないようにしようとか…。まぁいろいろあるけどさ、結局はこんな親になっちゃったわけだけどさ」

「大丈夫だって。瑠璃ちゃんも私も正親だからこーゆー関係になったんだし、正親じゃなかったらここまで上手くならなかったって」

「…そうか?」

「そうだよ」

「恭子…お前、良い子だな」

「えっ、今さら?」

「改めてだよ。あー…先に言っておくけど、宝くじのお金は俺にも恭子にも分け与えないからな」

「と、言いますと?」

「瑠璃ちゃんが大人になったら…二十歳になったら全部渡そうと思ってるんだ」

「全部!?」

「ばか、そこまで大きい声出すなって。瑠璃ちゃん起きちゃうだろ」

「ごめんごめん。でも全部あげちゃうの?」

「なんだよ。やっぱり狙ってたのか」

「狙ってないちゅうの。正親が当てた宝くじなんだから、正親が使えばいいのに」

「最初はそう思ってたんだ。でも元々瑠璃ちゃんのために使うって決めてたし、俺はもうマンションも買ったし、瑠璃ちゃんっていう娘も手に入れたし、あとは教師としての給料だけで暮らしていけるしさ。じいさんになっても年金とかあるし」

「それでも二十歳って言ったら、あと5,6年後だよ? それであとどれくらい残るのさ」

「瑠璃ちゃん次第だけど、多分2億は残ると思う」

「2億…一般人の私には到底理解できない金額だわ」

「瑠璃ちゃんが、その、好きな人が出来て結婚するときの資金として使うも良し。旅行に行くために使うも良し。遊んで暮らすも良し。なんに使ってもいいと思ってるんだ。瑠璃ちゃんの人生のためのお金だから、せめてお金には不自由しないで暮らしてもらいたいなって思って」

「フフ。瑠璃ちゃんがそのお金使うとは思えないけどね」

「それはそれかな。そうなったらそうなったで良いと思ってるし」

「さすが親バカ」

「瑠璃ちゃんを信用してるの。あとは瑠璃ちゃんが変な男に騙されないように見張るだけだぜ。へへへ」

「瑠璃ちゃんに彼氏かー。瑠璃ちゃん可愛いからモテるんだろうなー」

「なんか内海くんとかって子と、怜央くんは瑠璃ちゃんのこと好きみたいだからな。瑠璃ちゃんは気づいてないけど」

「正親の鈍感がうつったんじゃないの?」

「病気みたいに言うな」

「でも一緒に暮らしてるんだから、そのくらいうつってもおかしくないでしょ」

「あんまり認めたくないけどな。そういえば恭子は高校の時、モテなかったのか? あんましそーゆー話聞かなかったけど」

「モテてましたー。でも武田一本だったから、振ってましたー」

「マジで!?」

「超マジだし。正親のせいで華の高校生活を彼氏無しで過ごしたんだからね。責任とってよね」

「ぜ、善処します。すみませんでした」

「別に気にしてないしー」

「めっちゃ気にしてるじゃん!」

「冗談だって」

「じゃあ中村は? あいつはモテてたのか?」

「さぁ? 香恵ってあんまりそーゆー話しないし、告白はされたことあるだろうけど『タイプじゃないし』とか言ってザックリ断ってそう」

「あいつなら言いそうだな」

「あー、でも今大学で好きな人いるみたいだよ」

「マジか。どんな人?」

「そこまで聞いてないけど、なんか普通の人じゃないっぽいよ」

「何、超人的な?」

「さぁ?」

「まぁなんにせよ、中村にも春が来るかもしれないってことか。よかったよかった」

「正親って香恵のこと好きだったの?」

「はい? なんで?」

「ちょっと、気になったからさ」

「別にそーゆー感情はないけど。ただ高校の時は荒れてたから、しっかりと更正して真面目に暮らして欲しいなぁって思ってはいるけど」

「ふーん」

「…なんなんだよ」

「ちょっと嫉妬しただけ」

「嫉妬?」

「なんでもなーい。さてとあんまり遅くなってもアレだし、そろそろ帰ろうかな」

「帰んの? 泊まってくのかと思ってた」

「明日も学校なんですー」

「じゃあ送ってくよ」

「いいって。酔ってるじゃん」

「酔ってないよ。もう覚めてるし。彼女一人で夜道を歩かせるようなことはしないっての」

「はぁ…」

「な、なんだよ。俺、変なこと言ったか?」

「私、結局正親のそういうとこに弱いんだよね。優しくされるとキュンってしちゃう」

「いいことじゃん」

「私も成長しないとなー」

「俺は今のままの恭子が好きだよ」

「……ん」

『ちゅー』

「よし。じゃあしっかり送っていってね」

「はいよ、お姫様」



ここまで読んでいただきありがとうございました。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


長々と書いていたら長々としてしまったので、地の文を消しました。

地の文なんて飾りですよ。えらい人にはそれがわからんのです。


次回もお楽しみに!

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