あしたはがっこうさい
いよいよ明日から学校祭が始まる。
もう準備は万端だし、教室もいろんなグループが書いた大きな紙が貼られている。
私はこのクラスの展示のおかげで、モーツァルトのことをよく知った。同じ生き方をしたいとは思わなかったけど、こーゆー人もいたんだって思った。今の時代にあんな風に暮らしていくことは無理だと思った。
そんなこんなで無事に私のグループも書き終わって、移動式の掲示板に貼り付けて教室の真ん中に置いた。その4枚に切られた紙を私はなんとなく見ていた。
明日から学校祭が始まるということで、準備が終わった人は帰っていいって言われてて、私のクラスはほとんど終わってたので、みんな帰ったり他の友達のところに行ったりしてて教室には数人しかいなかった。
「瑠璃ちゃん、帰らないの?」
亜里沙ちゃんがカバンを持って声をかけてきた。
「んーもうちょっと残ってる」
「そう? じゃあ私先帰るね。バイバイ」
「うん。バイバイ」
亜里沙ちゃんが教室を出ていったのを見ていると、入れ替わりにヒロトくんとキララちゃんが入ってきた。
「瑠璃ー」
「よっ」
キララちゃんが私に駆け寄って抱きついてくる。ヒロトくんは片手を上げた。
「あれ? 怜央は?」
「怜央くんは今トイレ行ってる」
「あっ、ヒロト来てたの?」
「おー。今来たとこ」
トイレから戻ってきた怜央くんがこっちに来た。
「何? 帰んねぇの?」
「なんとなく残ってる」
「たそがれちゃってー。なんかあったの?」
キララちゃんが私のほっぺをふにふにしながら聞いてくる。
そう言われても何も無いわけじゃないけど、何か話すようなことがあったわけじゃない。
なんとなくなんだけどなぁ…
「もしかして…内海くんのこと?」
「まーた内海かよ」
呆れたようにヒロトくんが言った。
私が悩んでると言えば内海くんのことだと思ってる。それもあるかもしれないけど、今はなんとなく残ってるだけなんだけどなぁ。
「瑠璃ってば、内海くんのこと好きなわけ?」
「ブハッ!」
「さ、笹木さんっ!?」
「なによ、あんたたちだって気になってたんでしょ? こーゆーのは先に聞いておいたほうがいいじゃないの。傷は浅くて済むわよー」
「それでもストレート過ぎんだろ。しかも傷付くこと前提とか」
「そ、そーゆーのは二人っきりの時に聞いてよっ」
笑いを堪えながらのヒロトくんと、あわあわと慌てている怜央くん。ここまで慌てている怜央くんを見るのはなんか久しぶりな気もする。
「で、どうなのよ」
「内海くん? 悪い人じゃないと思うよ? もっとみんなと仲良くして欲しいと思う」
「そーじゃなくて! 好きか嫌いかを聞いてるの!」
「どっちか?」
「どっちか!」
「んー…じゃあ好き」
「おぉー」
どっちかって言うならね。
「じゃあ怜央くんとどっちが好き?」
「それは怜央くん」
「なんて事聞いてるのさっ!!」
そう言って怜央くんは教室を飛び出していった。
ヒロトくんとキララちゃんは大爆笑。
なんのことかわからない私はキョトンとして二人を見ていた。
その後帰ることになって、三人で教室を出て、廊下にしゃがみこんでいた怜央くんを連れて四人で帰った。
「そういえば二日目って正親さんは来るの?」
「学校祭の準備が忙しくて、土日も準備する生徒がいるから、その見回りも兼ねて学校に行かないとなーって言ってた」
「つまり来ないってことね」
「来れたら来るって言ってた」
「じゃあ武田さんは正親さんの学校の学校祭は行くの?」
「うん。恭子ちゃんと香恵ちゃんと行く約束してるの」
「高校の学校祭ってなんか怖くね?」
「そうなの?」
「なんか怖いイメージ」
「オバケ屋敷とかかなぁ?」
「武田さん…」
「瑠璃ってば可愛いわー」
「俺が言いたかったのはそういうことじゃねぇんだけどな」
「ん?」
ここまで読んでいただきありがとうございます。
感想とか書いていただけると嬉しいです。
この4人が揃うと、会話中心になってしまう。
おしゃべりなキララちゃんがいるから仕方無いな。うん。
次回もお楽しみに!
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