おじいさまの娘の家族
二人が落ち着いたあと、予定通りじいちゃんの家に向かった。さほど遠くもないところにあるので、地下鉄と電車を乗り継いで30分ほどで到着した。
今回は、せっかくなので天野も連れていくことにした。
瑠璃ちゃんと出会えたのもじいちゃんのおかげだし、瑠璃ちゃんのおかげで、こうして天野と付き合えてるわけだし、いろいろと報告も兼ねてというわけだ。天野は最初一緒に来ることを拒んでいたが、瑠璃ちゃんのナイスな甘えもあり、結局一緒に来ることになった。
まぁ母さんとかに会うよりもじいちゃんに会う方が気楽だと思うんだけどな。
と思っていた時期が俺にもありました。
「あっ、こんばんわ」
「…兄ちゃん?」
「おーやっと来…」
玄関を開けて出迎えてくれたのは、俺の兄ちゃんだった。
てっきりじいちゃんが出てくるとばかり思っていた俺は、驚きに驚きまくってしまった。瑠璃ちゃんは意外と冷静で、突然現れた兄ちゃんに挨拶までしていた。
そして兄ちゃんは俺を視界に入れたあと、その後ろにいた天野を目視。そして出迎えもそこそこに家の中に向かってダッシュ。
「母さん! 正親が彼女連れてきたぞっ!!」
「なにぃ!?」
玄関にまで聞こえてくる大声で叫んでいた。
そして母さんの声もデカい。
ドタドタと玄関に向かって走ってくる兄ちゃんと母さん。さりげなく父さんが居間からこちらを覗いている。仲間になりたいなら来ればいいのに。
「正親ーっ!」
「なんで母さんがいるんだよ」
「正親が来るってお父さんが言うから、せっかくだからみんなでご飯食べようかと思って来たんじゃないの。そんなことより、その子が例の彼女?」
母さんが鼻の下を伸ばして覗き込んでくる。そんないやらしい視線から天野をかばいながら母さんに紹介する。
「そうだよ。彼女の天野恭子。あー、これ、うちの母親と兄ちゃん」
「は、初めまして。天野恭子です。えっと、正親さんとは堅実なお付き合いを」
「恭子ちゃんって言うのね! 可愛い子じゃないのー。あんたも罪な男ねー。ほらほら、そんなところに突っ立ってないで、中に入りなさいな! ほら、瑠璃ちゃんもおいで」
「えっ、ちょ、えー?」
「おじゃまします」
母さんに引っ張られていく天野。そのあとに続いて、瑠璃ちゃんもハハハと笑いながらついて行く。
奥で父さんがささっと顔を引っ込めたのが見えた。
残された俺の目の前には、俺に対してなんかムカツク視線を向けている兄ちゃん。
そして一言。
「爆ぜろ」
とりあえず兄ちゃんは無視して中に入った。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
感想とか書いていただけると嬉しいぴょん。
じいさんには果たして出番が来るのか?
次回もお楽しみに!




