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通学路にて寝坊

「じゃあ行ってきます。ちゃんと鍵かけてってね」

「うん。いってらっしゃい」


新年度に切り替わってから1週間が経った。

まだ眠そうに目をこすっていた瑠璃ちゃんに見送られて俺は家を出た。

俺が家を出るときには、瑠璃ちゃんはまだパジャマだったけど、まぁいつもの通り間に合うんだろう。準備するのは早いからなぁ。

朝に弱い瑠璃ちゃんは、朝ごはんを食べる直前に起きてきて、一緒に朝ごはんを食べ、寝惚け眼のまま歯を磨いて、俺が出勤するのを見送ってから着替えたりしている(らしい)。

俺は瑠璃ちゃんとご飯を食べるまでに着替えやらなんやらの準備を済ませているので、ご飯を一緒に食べて歯を磨いて、それから出勤だ。

サッカー部の顧問も前年から引き続きしていて、大会とかが近くなってくると、朝練とかで朝早く出ないといけない時が増えてくる。……心配だ。

家を出て、まだ慣れないエレベーターに乗って下に降りる。全8階建ての5階。引っ越してきて一週間ぐらいは瑠璃ちゃんも『眺めがいい』とかちょっと大人ぶったことを言っていたけど、今はそんなこと言わなくなった。周りもウチよりは新しくないにしろ、同じくらいの高さのマンションが立ち並んでいて、遠くに見える札幌駅のJRタワーぐらいしか見えて嬉しいものはない。あと近くのセイコーマートとセブンイレブンが同じ視界に見えるぐらいだ。

マンションから出て地下鉄に乗り込む。朝のラッシュにもだいぶ慣れてきたけど、嫌なもんは嫌だ。出来ることなら座っていきたい。

そんなギュウギュウ詰めの地下鉄を降りて、徒歩10分ぐらいの距離にある勤め先の高校へと向かう。かなり早く来る生徒とは同じ方向へと向かうことになるが、その姿もチラホラとしか見当たらない。


「おはようございます。武田先生」

「あっ、おはようございます」


そんな中、後ろから追いついてきた高津先生に声をかけられた。

高津先生とはいろいろあったけど、今では高校の同僚であり、飲み友達だ。


「高津先生、なんか遅くないですか?」

「ええ。ちょっと寝坊しちゃいまして」


そう言ってちょっと跳ねていたらしい髪を押さえつけるように撫でている。


「あっ。口元に白いのついてますよ」

「えっ!?」

「冗談ですよー」


慌てて口元を隠す高津先生だったが、歯磨き粉なんてついているはずもなく、俺はケラケラと笑って先を歩く。


「もー。やめてくださいよ。ただでさえ寝癖とかで慌ててたのに、これ以上は勘弁して欲しいです」

「だからちょっといつもより化粧が薄いんですか?」

「薄いんじゃなくてスッピンなんです。学校に着いたらファンデぐらいは塗ろうと思ってます」


スッピンでも衰えぬ美貌。さすが高津先生。

女性は年齢が上の人しかいない中で、高津先生のような美人教師は、生徒や男性教師からも人気が高い。かく言う秋山先生もその中の一人だ。ファンクラブとかあったら、その顧問になってるレベル。


「あれから天野さんとはどうですか?」

「そこそこうまくやってますよ。っていってもあいつは学校ありますし、俺も部活とかあって、学校始まってからはなかなか会えてないですけど」


保育士になるにあたって、ピアノが弾けるようになることが最低ラインらしい。小学校、中学校とピアノを習っていたという天野は、サクサクと初心者の域を出て、中級者のブルグミュラーという教則本で『指が動かないー』と言いながら毎日ピアノを触っている。その上にはソナチネという上級者向けのが待ち受けているらしいが、ブルグミュラーが完了すれば保育士としてはやっていけるらしい。

そうやって頑張っている天野が落ち着くまでは、過度に会わないようにしている。


「なんかうらやましいですねぇ」

「高津先生も頑張ってくださいよ」

「頑張っても手に入らないものだってあるんですよ」

「うっ……」


そう言われると返し方に困る。


「あっ、じゃあ授業のほうはどうです?」


話題を変えるために聞いてみた。

高津先生は地学と地理を教えている。地学は3年の、地理は2年のそれぞれ選択科目になっており、そこそこ人気のある教科となっている。


「いつもどおりです。地学なんかは教材のビデオが揃っているので、ほとんどそれを流しながら、私が横で補足するぐらいで、地理は暗記の強化ですからね。要点をまとめてちょちょいのちょいですよ」

「そのちょちょいのちょいが出来るのがすごいと思うんですけどね」

「何年もやってらば慣れますよ。武田先生のほうが教えるの大変そうですもん」

「まぁ数学は答えが一つなのにそこまでたどり着けない子がいますからね」

「私も数学は苦手です。気圧を見るとき以外はなるべく数字を見たくないです」

「そんなこと言わないでくださいよ。楽しいですよ、数学」

「私には理解できませんー」


そんな話をしながら高津先生と一緒に学校に着いて、職員室へと向かった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


なんかランキングが大変な結果になっていて、迂闊なこと書けないなーとか思ってますw

しばらくは全キャラを再登場させようかなーなんて考えてますので、のんびりとお付き合いください。


次回もお楽しみに!

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