デートの裏で
今日、正親さんと恭子ちゃんがデートしている。きっと今頃は二人で映画見てるんだろうなー。
最近、正親さんが私にかまってばっかりで、恭子ちゃんと遊べてないような気がしたから、正親さんに嘘をついちゃった。正親さんも恭子ちゃんも私のことなんか気にしないで、もっとデートとかしてもいいと思う。今日は日頃の感謝の意味を込めての嘘だから、誰にも言わなければ怒られることはないと思う。正親さんにはこんなんじゃ返しきれないくらい感謝してるし。
ホントはみんなと遊ぶ予定もないし、出かける用事もない。丸一日暇だった。
正親さんが11時くらいに家を出るということだったので、私は10時半くらいに家を出て、近くにあるショッピングモールでブラブラして11時半ぐらいに帰ってきた。
一応正親さんがいるかどうか確認しながら入ったけど、やっぱり誰もいなかった。
夜ごはんまでには帰ってくるってことだったけど、日曜日のお昼なんて暇だ。
「何しよう…」
そう思って、とりあえず掃除機を出して掃除をすることにした。でも昨日も掃除機をかけたからそこまで掃除するところもなくて、あっという間に終わってしまった。
んー…勉強しよ。
自分の部屋に行って勉強机で教科書を開いて明日の予習をすることにした。
それも長くは続かなくて、30分も経たないうちにやめてしまった。
リビングに戻ってきてテレビをつけたら料理番組がやってて、ちょっとお腹が減ってきたので、冷凍食品のチャーハンをチンして食べた。
食べ終わる頃に、テレビでマラソンが始まって、他に見たい番組もなかったのでとりあえずそれをソファに寝っ転がって見てた。
やっぱり暇だなぁ…
なんとなく携帯を開いて、キララちゃんにメールをしてみた。
『何してるー?』
今日は家族でお出かけするって言ってたから、返信は返ってこないと思いながらも送ってしまった。
するとすぐに返信は来た。
『今家族でボーリング大会してるよー』
ボーリングかー。いいなぁ。今度正親さんに言ってみよう。
『そっかー。楽しんでねー』
『なんかあった?』
『何もなくて暇だったからメールしただけだよ。ボーリング大会頑張ってねー』
『そっか。じゃあまた明日ねー』
あっさり終了。
また退屈だー。
玲央くんとヒロトくんにもメールを送ってみようかと思ったけど、なんとなくやめた。
用事もないのにメール送っても心配されるだけだろうし。心配されたいんじゃなくて暇だから送るっていうのも自分勝手すぎるよね。明日キララちゃんには謝っとこ。
テレビのマラソンでは5キロの地点を通過したばっかりだ。マラソンはよくわからない。からだを動かすのは好きだけど、あそこまで長い距離を走りたいとは思わない。マラソン大会ぐらいの長さでちょうどいいと思う。
私はソファに仰向けに寝転がった。
こうやって暇なのは久しぶりだなぁ。いつもは正親さんといるかみんなと遊んでたけど、誰もいない家にいるとすごい静か。学校から帰ってきた時とはまた違う感じがする。
ボケーっとソファに寝転がってるといろんなことを考えちゃう。
キララちゃんが家族とのボーリング大会のこと。
怜央くんやヒロトくんとやったゲームのこと。
クラスの友達と話した内容。
前に香恵ちゃんと正親さんのお母さんが来た時のこと。
そして今日の正親さんと恭子ちゃんのデートのこと。
今頃二人で楽しんでるんだろうなぁ。久しぶりに私抜きで遊びに行って今まで私が居てできなかったところとかに行ってるのかな…
なんかそう考えると悪い考えっていうのは止まらないみたいで、どんどん考えてしまう。
二人にとって私って邪魔なんじゃないか。私が居るからいけないのか。私は二人のこと大好きなのに、もしかしたら二人は私のことを邪魔くさく思っているかも。
ふと私が正親さんと出会う前のことを考えてしまった。
もうあんな生活はしたくない。寂しい思いは嫌だ。
考え出したらキリが無くて、なんか悲しい気分になっていってしまう。
私はソファの背もたれ側に顔を埋めて耳を塞いだ。
何も考えないようにしようと暗くて何も聞こえない空間を作った。泣きそうになるのを我慢していると、いつの間にか寝てしまったみたいで、嫌な夢を見た。
暗くて寒い部屋で、膝を抱えて私は座っていた。
夢の中だとわかっているけどわかってない感じ。誰も帰ってこないっていうのがわかってる。だからこうやって待ち続けている。
いつからこうしていたのかも、いつまでこうしているのかもわからない。
ただ私はずっとこのままなんだと思ってた。
そんな時玄関が開いて、私はその光が眩しくて目を細めた。
「瑠璃ちゃん。ただいま」
そう言われて私は、差し出された手に自分の手を伸ばした。
「瑠璃ちゃん、寝てるの?」
「うん。なんか泣いてるみたい」
「大丈夫?」
「瑠璃ちゃん、瑠璃ちゃん」
そんな会話が聞こえてきたと思ったら、からだを揺らされて目が覚めた。
すごいすごい悲しい気持ちで目が覚めて、目をこすったら目元が濡れてた。
「大丈夫? 怖い夢でも見てたの?」
「えっ? わかんない…」
目の前には正親さんがいて、その横には恭子ちゃんがいて、二人とも心配したような表情で私を見ていた。
すると正親さんにギュッと抱きしめられた。横からは恭子ちゃんが私の頭を撫でていた。
「もう大丈夫だからね」
「そんなに怖い夢だったかー。よしよし」
あったかいなぁ。
私は正親さんの腕の中でホッとして微笑んだ。
そのあと、私たち3人は回転寿司を食べに行った。
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