表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/89

相談と決裂

その日の夜、帰ってきた正親さんと一緒に夜ごはんを食べていた私は、内海くんのことを話してみた。

今日の夜ごはんはコロッケと玉子スープとサラダ。油で揚げるのはまだ危ないので、正親さんが帰ってきてから揚げてくれた。

正親さんは私の話を聞いて、コロッケを食べてから答えた。


「んー。でもうちのクラスにもそーゆー子いるし、そーゆー子は無理に話しかけない方がいいと思うよ? 一人が好きって子もいるわけだし」

「正親さんもみんなと同じこと言うー」

「じゃあ瑠璃ちゃんだって、鬼ごっこしてる時に家に帰ってゲームしようよーって言われたらイヤじゃない?」

「うーん…イヤだけど…」

「それとおんなじだと思うけどなぁ」


そう言って正親さんは、半分残っていたコロッケをパクリと口の中に入れた。


そして次の日。


「あっ、武田さん。おはよ」

「おはよー…」

「どうしたの? 元気ないね?」

「実は…」


朝学校の玄関で玲央くんに会ったので、怜央くんに昨日正親さんに言われたことを話してみた。


「まぁ武田さんの言うこともわかるけど、正親さんが言ってることもわかるなー」

「はぁ…怜央くんもおんなじ?」

「でも武田さんは放って置けないんでしょ?」

「そうなのかも…」

「じゃあ武田さんがやりたいようにすればいいんじゃないかな」

「えっ?」

「やらないで後悔するよりも、やってから後悔するべきだ。後悔は後からするから後悔なんだ。先に後悔するのは後悔じゃなくて、ただ勇気が無いだけだ。って、ヒロトがよく言ってるんだけどね」


そう言って怜央くんはエヘヘと照れくさそうに笑った。


「そっか…」


今の怜央くんの言葉を聞いて私は決めた。


「わかった。私頑張る! 内海くんと友達になる!」

「元気出た?」

「うんっ!」

「それはよかった。元気のない武田さんは見たくないしね」

「じゃあ私行ってくるね!」


内海くんと友達になるために私は教室に向かって走り出した。

おっと、お礼忘れてた。


「怜央くんありがとっ! 大好きだよー!」

「だっ…えぇっ!?」


私は怜央くんに手を振って、廊下を走った。先生に見つかったら謝ろう。

先生に見つからないで教室にたどり着くと、自分の席に向かい、カバンを置く。

そして隣に座ってる内海くんに話しかける。


「内海くん!」

「…なに?」

「私と友達になろう!」

「…いいよ」


今の言い方は否定の『いいよ』だった。


「どうして友達になってくれないの?」

「……」

「私のことキライ?」

「…別に」


そう言って内海くんは立ち上がった。また廊下に出ていこうとしたので、私は内海くんの手首を掴んで引き止めた。


「どうして?」

「…離してよ」

「理由を聞くまでは離さない」

「……」


離そうとして手をちょっと振っている内海君。絶対離してあげないんだから。


「どうして僕にそんなにかまうのさ。放っておいてよ」

「ただ友達になりたいだけじゃん。その何が悪いのさ」

「悪いよ…もういいから離してって!」

「きゃっ」


内海くんが思いっきり手を振り払ったので、私は勢いで手を離してしまって、椅子から落ちて床に足をぶつけてしまった。

そんな私を内海くんは唇を噛み締めて見下ろしていた。


「僕に構わないで…」


そう言って廊下に出ていった。

その直後。


「てめえっ! 瑠璃に何してんだ!!」


廊下からドンッという音と共に、ヒロトくんの声が聞こえた。

私は慌てて立ち上がって、足の痛みに耐えて廊下に出た。

そこではヒロトくんが内海くんに掴みかかって、壁に押し付けていた。怜央くんもいたけど、ヒロトくんの後ろで見てるだけだった。

私は抱きつくようにしてヒロトくんを止めに入った。


「やめてって!」

「でも今瑠璃がやられたんだろ! こいつが悪いんだろうがっ!」

「いいのっ! 私が勝手にやったんだから気にしないで!」

「なんでそいつのことかばうんだよ!」


そんなの私だってわかんない…でも止めなきゃ。

私はヒロトくんを内海くんから離そうとして、精一杯の力でヒロトくんを押した。

そしてヒロトくんの手が内海くんから離れた隙に、内海くんは走って去っていってしまった。

ヒロトくんはそんな内海くんの後ろ姿を見て、小さく舌打ちをした。


「なんであんなやつのことなんかかばったんだよ。意味わかんね」


そう言ってヒロトくんは自分の教室に入っていた。

他の教室の人も何事かと思って、廊下に出てきたみたいで、みんなに見られてるのがわかった。

私は力が抜けたのと足の痛みで、その場にペタリと座ってしまった。

そんな私に怜央くんが近寄ってきた。


「ごめんね。僕のせいだね…ごめん」

「……」


そう言って私が何も言えないでいると、怜央くんも教室に入っていった。

ヒロトくんと入れ違いに出てきた笹木さんが私のもとに来て、隣にしゃがみこんだ。


「どうしたの? ってゆーか何があったの? ヒロトもめっちゃ怒ってたし…うわっ! どうしたのその足! 早く保健室行こっ!」


私は笹木さんに連れられて一緒に保健室に向かった。

その間、泣くのを我慢していたせいで何も答えられなかった。


にっこにっこにー♪


ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


なんだか穏やかじゃない雰囲気になってきました。

次の話を考えていたのですが、ちょっとシリアスになりすぎたので、まさかのお蔵入りになりそうな予感です。

でもその話を挟まないと今後のストーリーに影響が…

でもこの流れを続けたい…

ま、いっかw


次回もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ