シーン3 [恋相談]
シーン3―1[恋相談]
朝の学校。
弥生が教室の自分の机に座って洋介と話している。
洋介 お前、今日の宿題やったか?てか、わかったか?
弥生 数学?
洋介 あぁ。
弥生 やよに数学を聞く?
洋介 ・・・だよなぁ。あー、山勝に怒られる~
弥生 大丈夫だよ、山勝先生優しいもん。
洋介 そうか?オレ、前、螢雪時代を頭の上に落とされたんだぜ?
同じクラスの上総がやってくる。
弥生 あ。上総ちゃん、おはよ~。
洋介 はよ。
上総 ・・・・・・(気付かない。)
洋介 どうしたんだ?上総のヤツ。
弥生 さぁ?
上総は自分の席へ着く。
弥生は上総の席へ移動し、洋介もそれについていく。
弥生 上総ちゃん?おはよー!
上総 ・・・あ、弥生・・・洋介・・・。うん、おはよう。
弥生 そうだ、上総ちゃん。昨日の○○(流行のドラマとか)見た?
上総 あ・・・見てない。
弥生 え~。
洋介 珍しいな。毎週見てたろ。
上総 うん・・・そうなんだけど・・・昨日は、ね。
弥生 あ~あ、語り合おうと思ってたのに~
上総 ごめん。なんか、忘れちゃってて。
弥生 ちぇー
上総 ホント、ごめんて。
弥生 まぁ、いいけどさー。
上総 ありがと
弥生 ・・・上総ちゃんさ。
上総 何?
弥生 昨日、何かあったの?
上総 え・・・?
弥生 だって、いつもとなんか違うじゃん。
上総 そうかなぁ?
洋介 そうか?
弥生 そうだよぉ。登校時間だって。
洋介 そういやぁ、今日は早いな。
弥生 でしょ?
洋介 いつもは予鈴で駆け込んでくるのに。
弥生 そうそう。
洋介 天変地異でも起きるんじゃねぇの?
上総 (呆れて)何それ・・・
洋介 やっぱお前おかしいだろ。静か過ぎる
弥生 洋ちゃんにはいつも厳しいのに。
上総 ・・・・・・
弥生 ・・・・・・ケンカした、とかじゃないよね?
洋介 は?大和とか?
上総 え?それはない。
弥生 そっか。
洋介 だよな。あいつがお前をマジで相手にするとは思えん。
上総 どういう意味よ。
洋介 お前がガキだってこと。
上総 なんですって?
弥生 じゃあ・・・恋でもしちゃった?
上総 え・・・・・・
シーン3―2
別のクラスの大和が、廊下から顔を出す。
大和 おい、上総!
上総 え。あ・・・大和?どうしたの
弥生 あ、大和くんだぁ。おはよ~。
大和 おぅ、美作。おはよ。
大和の後ろから、飛鳥も付き添ってくる。
飛鳥 おはよ。如月さん。
上総 あ、飛鳥くん・・・
上総、あからさまに動揺している。
弥生 飛鳥ちゃんだぁ。おはよう。
飛鳥 おはよう、美作さん。・・・あれ?甲斐もいたんか。
大和 ホントだ。はよ!洋介。
洋介 はよー。
大和 んで、上総。悪いけど・・・
シーン3―3
秋葉 アスカ~、おっはよー!
後ろから、秋葉が走りこんでくる。
飛鳥 秋葉ちゃんやないか。おはよう。今日も元気やな。
秋葉 まぁねぇ。
大和 なんで加賀がいんだよ。
秋葉 あ、ヤマトじゃん。おはよー。
大和 お前教室上だろ?
秋葉 なによ、二人に会いに来ちゃいけないっての?
大和 お前がいるとうるさい。
秋葉 も~、ヤマトはつれないなぁ。部長に今日の部活の確認しに来ただけだって。
大和 じゃあ早く行けよ。話す時間なくなるぞ。
秋葉 はいはい。じゃ、またね~。
秋葉、去る
シーン3―4
上総 あの子は?
大和 あいつ?加賀は、うちのマネージャーだよ。
上総 マネージャー・・・
洋介 そっか、加賀って、男バスのマネだったんだな。
上総 え。洋介、あんた知ってるの?
飛鳥 如月さんらとは、一年とき同じクラスやった、言ってたで?
上総 そうだっけ?
弥生 いたよ。ほら、球技大会で活躍してたじゃん
上総 うーん・・・
洋介 だめだって。こいつ、球技大会は保健室いたから。
弥生 あ、そっか。
飛鳥 保健室?
洋介 そうそう。こいつ、顔面にボールぶつけてさ・・・
上総 過去の汚点をばらすな!
洋介 おー怖っ。
上総 まったく。・・・ねぇ、飛鳥くんと、仲いいの?
飛鳥 え?まぁ、そりゃあ・・・
シーン3―5
秋葉が戻ってくる。
秋葉 そりゃあ、恋人だもんねぇ。
上総 え・・・(固)
大和 は?
飛鳥 なに言うてんねん
秋葉 だって、アタシのこと好きっていったでしょー?(演技掛かって)
飛鳥 嫌い?って聞かれたから、そんなことない、って言っただけやろ?
秋葉 飛鳥ったら、恥ずかしがりやさんなんだから、もう。
秋葉、飛鳥を抱きしめる。
飛鳥、苦笑しつつされるがまま。
上総、それを見て固まる。
秋葉 あれ、如月さんどうしたの?・・・言っとくけど、冗談だからね、冗談。
洋介 だろうな。
秋葉 じゃ、アタシもう行くね。
大和 あぁ。
飛鳥 うん。
秋葉、去る。
シーン3―6
大和 ・・・んで、上総。悪いんだけど、古語辞典貸してくんね?今から古典なんだ。
上総、固まったままで反応無し。(洋介がからかってみるが同様。)
大和 ・・・・・・おーい、古語辞典・・・
洋介 だめだこりゃ。完全に機能停止してんぞ。
大和、上総を見直し、諦める。
大和 ・・・だな。おい、洋介。貸せ。
洋介 大和。オレが、んなもん持ってきてると思うか?
大和 ・・・だな。
弥生 大和くん、やよが貸そうか?
大和 そうだな、頼む。
弥生、古語辞典を用意してきて、大和に渡す。
上総、その間もずっと(再び洋介がちょっかい出しても)反応無し。
弥生 はい、これでいいよね。
大和 サンキュ。一限終わったら返し行くから
飛鳥 二限体育やろ?時間大丈夫なん?
弥生 あ、今日古典ないから、明日でもいいよ。・・・電子辞書もあるし。
大和 そっか。サンキュ。・・・でも、できるだけ今日中に返すな。
弥生 うん。じゃあね。
大和 おぅ
飛鳥 それじゃ
大和、飛鳥、教室を去る
シーン3―7
弥生、放心状態の上総の元へ戻る。
弥生 上総ちゃん
上総 ・・・・・・
弥生 か~ずっさちゃん!
上総 ・・・・・・
弥生 ・・・・・・そっかぁ、上総ちゃんの好きな人って、飛鳥ちゃんのことだったんだぁ。
上総 え?!
上総、一気に現実へ戻る。
上総 な、ななな・・・なんで?!
弥生 おかえり、上総ちゃん
上総 やよい~
洋介 なに意識飛ばしてんだよ、バーカ。
上総 うるさい
弥生 で。さっきの話の続き。
上総 へ?
弥生 恋、しちゃったんだ?
洋介 は、上総が?そりゃねぇだろ。
上総 ・・・・・・うん。
洋介 え。まじで?
弥生 そっか。・・・よかったぁ。
上総 え、何が?
弥生 上総ちゃんとは、もう小学校入ったときからの付き合いだけど、そういう話聞くの初めてだよね。
上総 え・・・そうだったっけ?
弥生 そうだよぉ。
洋介 だよな。オレも初めて聞いたし。
上総 わざわざ男子に教えるわけないじゃん。
洋介 でも、事実無かったんだろ?
上総 う・・・まぁね。
弥生 なんか、嬉しいな。初恋もまだなんじゃないかって、心配してたんだよ。
上総 そんな大げさな・・・。あたしだって、初恋とかは、幼稚園のときに済ましてるんだから。
弥生 そっか。なら、よかった~。・・・・・・で、誰なの?その・・・好きな人って。学校の人?
上総 うん、それは・・・その・・・
弥生 親友にも言いたくない?
洋介 オレがいると言いにくいか、やっぱ。
上総 う、ううん。そういうわけじゃないんだけど・・・。
弥生 じゃあ、何?言えないような相手?
上総 そうじゃないけど・・・
弥生 じゃあ、誰なのー?
上総 ・・・・・・さっき、弥生が言ってた人。
弥生 え?
洋介 は?
上総 ・・・・・・
弥生 ・・・って、飛鳥ちゃん?
上総 (頷く)
弥生 ・・・マジだったの?
上総 うん。
洋介 うそだろ?
弥生 ・・・いつから?
上総 昨日。伊予さんの仕事が終わるの待ってて、教室にいたの。そしたら、大和とね、部活帰りに一緒にいて・・・。ちょっと、話しただけなんだけど・・・。
弥生 けど?
上総 一目見て、かっこいー・・・って。
弥生 確かに、かっこいいよねぇ。
上総 でしょ?で、なんか・・・すごいどきどきしちゃって・・・。人を好きになるって、こういうことなのかなぁ・・・って。
弥生 そっかぁ。・・・飛鳥ちゃんて、大和くんと仲良かったんだね。
洋介 あぁ。よく二人でいるぜ?
上総 ・・・二人とも、飛鳥くんのこと知ってるの?
洋介 まぁな。部活帰りに大和と会ったときに、少し話した。
弥生 やよは、四月に部活見学にきたから。
上総 そうだったの。弥生、演劇部だよね?
弥生 うん。・・・そうそう、飛鳥ちゃんの王子様、かっこいーんダヨ♪
上総 え!王子様やるの?飛鳥君演劇部なんだ?
弥生 ううん。違うよ。
上総 じゃあ、なんで?
弥生 見学のときにね、衣装着せちゃったんだー
上総 そうなんだ・・・
弥生 そうなのだ♪・・・でも、そっか。上総ちゃんが、飛鳥ちゃんを・・・ねぇ。
上総 感心しないでよ。恥ずかしいんだから。
弥生 ごめんごめん。
上総 ・・・弥生も好き、ってことは・・・無いよね?
弥生 大丈夫。安心して。
上総 じゃあ、応援してくれる?
弥生 もちろん!親友の頼みだもんねぇ。
上総 ありがと~、弥生。
弥生 いえいえ。
洋介 ・・・上総、和泉のこと、好きなのか?
上総 だから、恥ずかしいって言ってるでしょ。
弥生 洋ちゃん、どうかした?
洋介 でもたしか、和泉って・・・
弥生 はい、余計なこと言わない!上総ちゃんの恋邪魔したら、やよが許さないんだからねぇ。
上総 弥生・・・
弥生 やよは全力で応援するから。
上総 もう・・・大好きだよ~、弥生!
弥生 ありがとう。がんばってね!
上総 うん!
弥生 あ、そういえば上総ちゃん、今日朝清掃の日だよね?
上総 そうだ、あたし保健室担当じゃん!
弥生 急がないと!
上総 うん!
上総が教室を去る
シーン3―8
弥生 ・・・・・・洋ちゃん、女の子の恋を邪魔しちゃだめだよ?上総ちゃんのこと好きなのは知ってるから、気持ちはわかるけどさぁ。
洋介 な、何で知って・・・じゃなくて、何言って・・・
弥生 洋ちゃん分かりやすいんだもん。
洋介 そうだったのか?
弥生 やよからすれば。多分気付いてるのやよだけだけどネ。
洋介 良かった・・・って、さっき言いたかったのはそういうのじゃなくて!
弥生 はいはい、言い訳はいいから。掃除するよ~。
弥生、洋介を無視して机を運び出す。
洋介 ちょ、待てよ!
弥生 わぁ、似てない~。
洋介 誰の真似もしてねぇよ!
弥生 教室担当、働きましょう。
洋介 だから、
弥生 バラすよ?
洋介 ・・・・・・
洋介も、観念して机を運び出す。
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