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シーン9 [親友]

シーン9―1 [親友]


 学校

 教室の机で一人、弥生が何かと格闘している。(ホントに戦うように動いてもいい。)


弥生 課題終わらない・・・。あ~、もう。頭の中で数字がグルグル回ってる~。この、ベクトルめ・・・消えてしまえ~!法線だか光線だか知らんけど、意味不明なんじゃ!


 弥生、さすがに一人で騒いでるのがむなしくなる。


弥生 ・・・・・・も~、助けて、上総ちゃ~ん!


 教室に、洋介が上総を引っ張って入ってくる。


弥生 え・・・上総ちゃん?


 弥生、上総のいつもと違う雰囲気に気付く。


弥生 どうしたの?

洋介 部室出たら、校門のとこにいたの見えたから。・・・オレより、美作んとこいいと思って・・・。

弥生 そっか。

洋介 ・・・じゃあ、オレまだ片付けあるから・・・

弥生 うん。・・・ありがとう。

洋介 ・・・頼むな。


 洋介は上総を気にしつつ去る。



シーン9―2


弥生 どーしたの?上総ちゃん。

上総 ・・・・・・

弥生 何かあった?

上総 ・・・・・

弥生 ・・・何が、あったの?

上総 ・・・・・・

弥生 ・・・・・・

上総 ・・・・・・あたし・・・

弥生 うん。

上総 ・・・やっぱ言えない。

弥生 どうしたの?

上総 うん・・・

弥生 ・・・何があったかはわからないけど。話せば、少しは楽になると思うよ?

上総 弥生・・・。

弥生 だから、ね。

上総 あたし・・・大和とケンカしたの。

弥生 ケンカ?よくあることじゃない。

上総 うん・・・でもね、

弥生 何かあったの?

上総 ・・・うん、まぁ・・・

弥生 どうしちゃったの?

上総 弥生・・・ありがと・・・。

弥生 何よ。

上総 心配してくれて。

弥生 ・・・当たり前でしょ。

上総 ・・・・・・ほんとは、くだらないことかもしれないんだけど・・・ね・・・

弥生 うん・・・。

上総 ・・・・・・簡単に言っちゃうと、大和のことが、うらやましかったの。

弥生 ・・・あの、テストの?

上総 うん。あと、・・・それ以外も。っていうか、小さい頃から・・・

弥生 そう・・・

上総 あたし・・・昔からよく、「頭のいい子」とか、言われてたけど・・・。ほんとは、なんだって大和のほうができるの。あたしはただ・・・一生懸命、努力してるだけ。

弥生 そっかぁ・・・

上総 中学のときから、ずっとそうなの。そんな風に、勉強してる様子なんて、全然ないのに。

弥生 うん・・・。

上総 ・・・・・・昔から・・・。昔から、勉強してるのはあたしばっかりで。それなのに、大和は・・・。

弥生 ・・・・・・。

上総 テスト前の休みだって、遊んでたし・・・。

弥生 えっ?勉強会じゃなかったの?

上総 え?


 照明溶暗



シーン9―3


 数秒後、溶明


上総 弥生・・・いろいろありがとね。

弥生 いいえー。上総ちゃんと、大和ちゃんのためだもん。

上総 ・・・そういえば、弥生が『大和ちゃん』て言うの久しぶりに聞いた。

弥生 うん。やよも久しぶりに言った。

上総 なんで?

弥生 だって大和ちゃん、中学入ったらいきなり『恥ずかしい』って言い出すんだよ。怒られるのいやだし~。

上総 へぇ、知らなかった。

弥生 幼馴染だもん。いいじゃんねぇ。

上総 だよね。弥生は男女関係なくちゃん付けで呼ぶし。

弥生 仲いい人だけだけどね。・・・って、そんなこと言ってるときじゃないでしょ!

上総 うん。ありがとう、弥生。

弥生 どういたしまして。・・・またね。

上総 うん、また。


 上総、笑顔を見せてから教室を出て行く。



シーン9―4


 入れ違いに、洋介が教室へ戻ってくる。


弥生 洋ちゃん・・・。ずっとそこいたの?

洋介 まさか。そこまで無粋じゃねぇよ。

弥生 そうだよね。言ってみただけ。・・・さっきはありがとね。

洋介 何が?

弥生 上総ちゃん連れてきてくれて。

洋介 あれくらい・・・当たり前だろ?

弥生 やさしいね、洋ちゃんは。

洋介 ・・・んなんじゃねぇよ。

弥生 そっか、上総ちゃんは特別か。

洋介 ・・・・・・優しいだけじゃ、だめなんだろ?

弥生 優しさが必要なときもあるよ?

洋介 お前、慰めてんの?

弥生 ホントは、自分で何とかしてあげたかったんでしょ?

洋介 ・・・・・・

弥生 ・・・・・・ねぇ、洋ちゃん。姉弟っていいね。

洋介 ・・・そうだな。・・・・・・じゃあ、オレも帰るな。

弥生 そっか、じゃあね。


 洋介、教室を出ようとして


洋介 あ、そうだ。

弥生 どうしたの?

洋介 大問の三、順列じゃなくて組み合わせなんじゃね?

弥生 え?!


 洋介が去ろうとする。

 弥生が引き止める


洋介 ・・・なんだよ。

弥生 ・・・教えて?

洋介 ・・・・・・仕方ねぇなぁ。

弥生 ありがと、洋ちゃん!


 洋介も座り、二人で課題を始める。

 教室が静かになったところで、窓の外を見る


弥生 ・・・外、かなり暗いよね。

洋介 お前、先公に忘れられてんじゃねぇの?

弥生 そんなぁ・・・山勝先生・・・?




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