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18-eighty  作者: AHIMO
6/7

5話 悶え

人の事を考えるのは苦手だ 自分と相手の考えがわかりあえればいいのに


そうだ楽な方法があるじゃないか


自分というものを捨てればいいんだ







12月24日 今年も後一週間 年末の一日であると筆者は認識しているが


残念ながら世間での認識はその日はクリスマスイブという日らしい


朝から商店街の様子もそして道行く恋人たち(爆発しろ)も皆どこか浮き足立っている


そんなどこか皆楽しげな中


対照的にまるで紫の負のオーラが目に見えるような勢いで


机にかじりつき、ノートが恋人とばかりに見詰め合ってる受験生がいた


目にはクマができ、口元には無精ひげ 目は死んだ魚のようによどんでいた


圭は本来そこまで無理をして勉強するタイプではなかったが


そうなったのには賢明な読者の方はお分かりかと思うが


そう昨日のあの少女との一件が原因だった


家に逃げ帰った圭は部屋に入るなり、すぐさま布団をかぶりベッドの中で恥ずかしさに悶えていた


寝て忘れようとしたまではよかったのだが 目を閉じると 先ほどのシーンがプレイバックされ


また身悶えるのだった。


ならばと勉強の方で頭を一杯にするべく、公式の群れと向かい合うと


思いのほか効果があり、そのまま続けることに・・・


そして今に至る


ふと顔を上げると窓からまぶしい光が差している


時計を見る どうやらいつもの起きる時間になっていたようだ


背伸びを一ついれ一息つく


「なんだよ俺結構頑張れるんじゃん まさか朝になっているとは」


自らの顔を見て笑う なんというひどい顔だと


笑いが収まり 段々冷静になってくると


またしてもあの夜のシーンが徐々に浮かんでくる


俺を君の曲の傍において 俺を君の傍に 俺の傍に・・・・うわあああああああああああああ


冷静さを再び失い身もだえする


部屋の中を回転しながら悶えていると


いつのまにか部屋のドアは開いていて


まるで腫れ物を見るような顔つきの母親がそこに立っていた


やばい・・・さらにやばい・・・母さんどう見ても 俺が壊れたって感じで見てるよ


気まずい沈黙が続き、お互い視線を合わせられない


「お、おはよう・・・」


果敢に沈黙を破りにいったが


「おはよう・・・ご飯できてるよ・・・」


「うん・・・今行く」


気まずさは破れず、母は部屋を出る際も何度も可哀想な目で息子を見続けた


食卓では 何度も勉強のしすぎでは 遊びに行くべきではなどと真剣に心配され


圭は乾いた笑いで相槌をうち続けた




「今日は予備校休みだけど 図書館で勉強するから」


「そう分かった でも無理はしないでね 無理したら夢のネズミの国に引っ張っていくからね」


「分かった分かった無理はしないよ」


過保護なものだね


圭は少し俯きながら笑った



この季節の図書館は圭と同じように学習スペースが受験生などで埋まる


圭が着いたころにはもう既に半数近くの席が埋まっていた


本来は読書用の、すわり心地のいい椅子に腰掛け


せっせと参考書を準備し、勉強を始めた


だが1時間もするとまったく寝てないことが災いして睡魔が襲い掛かってきた


いかん・・・眠い・・・少しだけ寝よう・・・


机に突っ伏し、まどろみに誘われるまま意識はフェードアウトしていった


『おいもっと頑張れよ!!大会ちけーんだぞ 最後くらい頑張れーねの?』

『うるせーなぁ 俺らには俺らなりの頑張りがあるんだよ。オメーはオメーでやればいいだろうが』

『そーだそーだ お前1年の頃からウザかったけど最近ますますうざくなったな。』

『そんな生き方してて疲れねーの?もっと気楽にいこうよ』


『ふざけんな俺らはチームだろ!? 一つの方向向いてなきゃいけないんじゃないのか?』

『あーあー熱血でいいですねーお疲れ様ですー チームなら俺らの気持ちも考えてくださーい』

『俺らは一つになってるよ 同じ方向を向いてないのはお前じゃね?』

『何だと?』

『ほっとけほっとけ あーあと今日は体調悪いんで俺ら全員休みまーす んじゃあねー』

『お、おい待て話はまだ終わってないぞ おい!!』



(夢見てたな・・・まだ出てくるのか 今何時だろ・・・うわ結構寝てたな)


簡素なカウンター脇にかけられた壁時計で時間を確認するともうすでに夕方前の時刻をさしていた。


寝ぼけ眼の目をこすり、隣を見ると中学生くらいと見受けられる女の子が新聞を広げ熱心に読んでいた。


勉強熱心でいいことだ・・・ってあれ?


そういえばこの子・・・見覚えが・・・って 「あ!」


しまった声が出ちゃった


今の今まで静けさを保っていた館内の視線がこっちに向く。もちろん 隣の子も例外なく


「あーーーーーーーー!!」


今度は彼女が叫んだ


お互い忘れるわけないよな?


昨日あんな別れ方したばっかりなんだからな

最後まで読んでいただきありがとうございます


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