4話 交わりの始まり
一昨日と違う曲ではあったが 同じようにどこか心を揺さぶれる思いがした
だが この前のが優しさの曲だとしたら今回のは悲しみの曲に感じだろうか
彼女の涙に濡れた表情にリンクするように
悲しげなメロディを奏で
最後に搾り出すような高音で歌いきった
ただただ悲壮感がこみ上げ、いつのまにか圭の目元も潤んでいた
(何で俺が泣いてるんだよ・・・なんでだよ)
演奏が終わると同時に
糸が切れたマリオネットのように肩が一気に落ち、視線は虚空から地べたへ向けられた
目元を指で拭い
俯き、嗚咽を漏らしている彼女の元へ静かに歩み寄っていく
その段階で気づいた
(会って確かめるって何を?そしてどういうことを?考えてなかった)
しかし言葉が見つからない
{ありがとう}(いや おかしい)
{いい歌だね}(空気読めてないだろ・・・)
{何があったの?}(いやお前誰だよ・・・)
(ダメだ・・・上っ面な言葉しかでてこない)
あれこれ考えてる間に 少女は顔を上げ こちらに気づいた
一瞬で白い肌がさらに青白くなり
明らかに怯えていたが
寒さや怯えなどから来る震えで体が動かなく逃げられないようだった
何故怯えてるのかは分からなかったが
その原因が自分にあるという事だけは感じ、罪悪感に蝕まれた
{ごめんね 驚かせるつもりはなかったんだ 邪魔したね}
これだけの上っ面の謝罪を並べ立ち去るつもりだった だが
「もう一度歌って欲しい」
少女は予想外の言葉に腫れ上がった目を丸くした
(俺は何を言っているんだ)
「君の歌がただ聴きたいと思った」
(知らない女に俺は何を)
もう止まらない
「自分勝手なのは分かってるけどさまた 君の歌を聴かせて欲しい」
自分の中から予想だもしない言葉が溢れ出し、自分自身が驚いていた
「君の悲しい事も誰かが一緒にいてくれたら少しは楽になると思う」
だから
「君の歌う傍に俺を置かせてくれ」
言い終わってようやく冷静になる
(何を言ってるんだ俺はよ!!これじゃまるで告白・・・)
目を合わせられなくなり、すぐさま横を向く
冷静になればなるほど、自分の言ったことに対して気まずさを感じていった
それに追い討ちをかけるように
その言葉に少女はようやくおずおずと小さな声で口を開いた
「ええと、そのそれはどういう意味・・・」
その圭の答えづらいドストライクな疑問を投げつけられ圭は狼狽した
(勢いで言った台詞の説明なんかできるか どうする どうする どうする どうするよ俺)
「ええっと・・・その・・・・また来る!!」
圭は逃げ出した!!
しかしうまくまわりこまれ・・・ることも無く逃走は成功した
この前とは逆にポカンと彼女が取り残された 一人になって気づいたが震えはいつのまにか止まっていた。
(馬鹿じゃねーの俺はああぁぁぁぁぁぁ何で勢いであんなこと言ってえぇぇぇぇ)
一刻も早くあの場から立ち去りたいがために圭は再び全力で走った
圭はまだ気づいていなかった
あの時、彼が久しぶりに嘘が無い感情を出していたことに
今回も最後まで読んで頂きありがとうございます!!
4部まで書いてやっと長い長いプロローグが終わった感じですかね。
進行は遅いですが細々とやって行きたいと思いますのでこれかれらもよろしくお願いします!!
感想いただけると本当にありがたいので、よろしれば感想お願いします!!