2話 クロ
まっすぐに生きてればそれに呼応して
結果もついてくるんだって ずっと信じてた
なのにどうして・・・
「はい じゃあ今日で授業は終わりです。あとは卒業式まで自由登校となるが
冬期講習を受講するものは・・・」
この日 教師の言葉を圭はひとつ残らず聞き流していた
(はぁ、つまんねぇ)
高校でやる内容は既に予備校でやってある内容であり
圭にとって退屈なものだった。
「それでは 号令頼む」
「起立 注目 さようなら」
別れの呪文を唱えるやいなや
一斉にそれぞれの放課後に向けて歩き出した
一度も見ていない小奇麗な学校指定教科書をかばんに詰め帰り支度をしていると
ブレザーでさえもはや服に余裕がない、がっちりとした体格の男がこちらにズカズカと足音を立て歩いてきた
(ああ 最後までこいつは来るのか)
「よぉ相良― 聞いてくれよー俺この前の模試で数学なんと全国順位最下位だったんだけどさーどうしよ」
彼の名は加藤 義美元ラグビー部の部長である
一年生時、たまたま隣の席だった
圭が彼に数学のノートを写させてやったのをきっかけに
相良は俺の親友と自負するようになったが
正直圭は彼の事が好きではなかい
「お前は馬鹿か 俺と話してる時間があったら勉強しろ それとな
引退したんだからもうラグビー部に行くの辞めろよ」
「やだ! この友との語らいこそが今しか得られない今という奇跡の宝物であるのだ。そして
後輩指導は部長の仕事でありそれは卒業放棄できないのだ」
「お前大学行く気ないだろ・・・」
「大丈夫だ!毎年最後まで後輩の面倒を見てくれた元部長方も皆2浪で大学に入っている」
「駄目じゃねーか!!」
「そうかぁ おっと!もうこんな時間か 行かなくては では相良ぁ卒業式で会おう!!」
大股で颯爽と加藤は去って行った
そのまっすぐ過ぎる背中に最後までほの暗い気持ちを抱え込まずにはいられなかった
(さて、ここまでがテンプレートだ いつも通り これから 予備校に行って 寝て
起きて 勉強して 予備校行って 寝て 受験生の鏡じゃないか)
『じゃあその後は?』
何かがささやいた気がするが 考えるまでもない
「その場その場で生きていけばいいんだよ 今考えったって仕方ない自分を持ったってしょうがない・・・」
誰も聞いていない空に向かって小さな声で呟いた
あの雲の様に流されていけば楽なんだと
ぼんやりと眺めていた。
世間はクリスマスムード、受験生にとってはそんなの関係ない、受験まで1か月前の朝
圭は目を疑った
次のニュースです 昨日A県の高校でいじめを苦に飛び降り自殺した事件がありました。鞄の中から見つかった遺書からは・・・』
朝から景気の悪くなるようなニュースがテレビから流れ
自殺した女生徒の顔写真がアップで映し出されていた
リビングで一緒に朝食をとっていた母親は顔をしかめる
「嫌な事件ね 圭の学校はそういうのなかったの?」
圭はテレビ画面から目が離せなかった
(な、んで?)
そこに映った写真はあの夜に出会った少女そっくりだった
最後まで読んでいただきありがとうございます!!AHIMOです。
3回目の第2話・・・紛らわしい・・・
早く評価してもらえるような良い作品を作れたらなぁっと思います。
感想お待ちしておりますので お願いします。5/5 AHIMO