プロローグ~人もどき~
12月ももう半ばの冷たい風が吹きすさぶ繁華街を一人で歩いていた。
クリスマスが近いという事もあって
町は過剰な装飾で色めき。行き交う人もどこか浮かれている。
そんな光景を冷めた目で見ながら歩く。
毎年同じようなことをやっているというのによく飽きないな。
でも、クリスマスはこんなに楽しくないものだったか?
子供の頃はこの時期が楽しみで仕方がなかったような気がしないでもない。
じゃあ、今楽しめていないのは直前に控えた受験の所為だろうか。
いや、ここ数年クリスマスが楽しみだと思ったことは一度もない。
それ以前に楽しいと思えるものと出会えたことがないな。
俺はいつからこうなってしまったのだろう。
「うわー!めっちゃキレーじゃね?」
「そうだな でもオメーの方がキレイだ……なんつってー!!」
「ギャハハーきめー」
目の前を茶髪のいかにもなカップルが歩いている。
ああ、こいつらみたいに馬鹿になれれば人生楽しいだろうな。
男の方が俺が見ていることに気付いたのか、険しい顔つきをして、立ち去るように促してきた。
別にそんな顔しなくても、すぐいなくなるっての。
見られたくないのなら、室内で一生過ごせよバカップル。
そう心の中で呟いて、カップルとすれ違った。
「わーきれーい」
「今日このあとどこに行く?」
「よーしもう一軒いきましょ~」
……なんだ、今一人でいるのは俺だけじゃないか。
はぁーっと息を空に向かって一つ吐くと、白い気体が空へと登って行きすぐに消えた。
早く帰りたい……疲れない程度の速さで。
読んでいただき誠にありがとうございます。 作者のAHIMOです
まだまだ小説の書き方や文法が分かって無いですが
まずは数をこなすために楽しく頑張っていきたいです。
悪いところを直して行きたいので、感想をもし頂けるなら修正案中心でいただけると嬉しいです。