狂った世界 (クルッタ セカイ)
あえて短くしてみました。どうでしょうか?
僕はいつものように食堂へと向かった。そして、クリスたちと会ったんだ。
「……?」
ドアが半開きになっていた。普段なら、きちんと閉まっているか開放されているかのどちらかなのに。僕は不思議に思いながらもドアノブに手をかけた。
「うっ……!!」
食堂から鼻にツンとくる不愉快な何か―――悪臭―――がした。僕は思わず扉を閉めてしまった。とてつもなく嫌な予感がした。
キリエさんを呼んだ方がいいのだろうか。そう思った後に苦笑する。こんな時でさえ、僕は博士を呼ぼうとしないんだな。
とりあえず、もう一度扉を開けてみることにした。
「?!」
そこには、異様な光景が繰り広げられていた――――。
狂ってる。
僕はそう思わずにはいられなかった。何だろう、この光景は。
壁、床、机、椅子、カーテン。全てがどす黒い赤に染まっている。昨日まではこんなんじゃなかったはずだ。
赤、赤、赤、赤、赤、赤、赤、赤……。見渡す限り全てが赤だ。もしこれが、室内を改装しただけだって言うのなら、僕はただ呆れて溜息をつくだけで済んだのかもしれない。でも。
違う、明らかに違う。これは明らかに異様だ。
その時、ふと室内の真ん中に落ちている『何か』を見つけた。ちょうど、ドッジボールのような大きさの『何か』。どす黒く染まっている。
「どうしたんだい?」
クリスはちっとも食堂に入ろうとしない僕を訝しんで訊いてきた。けれど、今の僕にとって彼の声はただの『音』と同じだった。
「鈴?」
室内の真ん中に落ちている『何か』。ドッジボールのような大きさの『何か』。僕はそれが本当は何なのかをよく知っている。それは。
ハカセだ。
『それ』は、博士の頭だった―――。