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託されたもの
「あっ! みんな、お帰り~!」
イハウェル城に帰ると、五歳くらいの小さな女の子がゼロたちを迎え入れた。
「あれ? ママとパパは?」
女の子はきょろきょろと辺りを見渡す。
「……あのね、ベティ。ベティのママとパパは遠いところにお仕事に行っちゃったのよ」
レイチェルは女の子に視線を合わせるためにかがんだ。
「いつ帰ってくるの?」
「それは……」
レイチェルは困ったようにゼロとニックを見る。
「お前の母ちゃんと父ちゃんはずっとお前のこと大事に思っててくれてるさ!」
そう言って、ニックはベティの頭を撫でた。
「だから、心配するなよ?」
ベティも笑顔になり、「うんっ!」と元気よく返事をする。そして、城内へと駆けて行った。ニックとレイチェルもそれに続く。
「ゼロ?」
レイチェルは振り返り、「早く行こうよ」と言った。
「あ、ああ……」
―――しょうがねえなぁ、託されてやるよ。
ゼロはフッと笑い、彼らの後について行った――――――――――。