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外の世界  作者:
外の世界
73/75

断ち切れぬ連鎖3


 「お前、何言って―――」


 「クリスっ!!」








 「何……じゃと?」


 フローラは己の目を疑った。なぜ、自分を倒さなかったのかと。


 クリスは剣で自らの心臓を貫いた。


 「兄さん」


 彼は壁にもたれかかり、ゆっくりと腰を下ろした。


 「兄さん。マルスは、彼は好きでああなったわけではなかったんだ」


 蒼白な顔色をしていた。


 「全部話したいけど……ははっ、時間が足りないな。真相は、こいつ―――フローラ―――が知っている。……僕がこうすることで何か変わることがあるのなら、それで構わない。ただ」


 クリスは真っ直ぐゼロを見た。


 「ベティを頼む」


 「ああ……。分かった」


 クリスは満足そうに頷き、息を引き取った―――。


 「……さて、フローラ」


 ゼロは銃口をフローラに向けた。


 「そろそろ真相とやらを話してもらおうか」


 フローラは両手を挙げ、降参のポーズを取る。「どこから話せばいいのかの?」


 「最初からだ」


 「そう大した内容はないがの。……マルスは、わしの弟じゃ」


 「何だと……?」


 「弟だったのじゃが、あ奴は先代―――つまり、わしの父上じゃな―――の考えに賛成できなかったようでの。奴は14歳だった時に国を飛び出したのじゃ。デスペラード王国に身を置き、謀反の機会を窺っておった。幾十年の時が過ぎてようやく、お主を見つけた」


 






 彼は己の実力をよく知っていた。誰か良い逸材はないかと日頃探していた。そんな時、兵士として城にやってきた少年を見つけた。




 あの少年ならできるかもしれない。




 彼は即座に少年の素質を見極めた。その時から彼は少年の過去を調べ上げ、彼の実弟が光の楽園に奴隷として身を置いていることを知った。好都合だと思った。そしてその話を持ち上げ、光の楽園を滅ぼそうと少年に詰め寄った。だが、少年は首を横に振るばかり。


 「どんなに酷い国だって、優しい人たちはきっといるはずなんだ。俺たちが自分の都合で勝手に滅ぼしていいなんてこと、これっぽちも無いんっすよ」


 さらりと言う少年。彼の長年の夢は、ここで絶えた。そして彼は思いつく。


 ―――そうだ。戦う意思がないのなら、私の手で思い通り動く人形ロボットにしてやればいい。


 






 「俺は……。俺は、それだけのために」


 人生をめちゃくちゃにされたというのか。


 「奴が憎いか?」


 「さあ、どうだかな……」


 正直よく分からない。なぜなら俺は、感情を持たないからだ。


 「ただ一つだけ言えるのは―――」


 俺は引き金を引いた。


 「?!」


 フローラは驚きに目を見開いて倒れた。


 「な…ぜ、お主が引き金を引ける……? 引き金を引くのは、あの娘だったはず」


 レイチェルのことだ。


 「残念だったな。世の中そんなに甘くねえよ」


 「く……クククククッ! 面白い! 世界のことわりが変わるというのか! つくづく面白い連中やつらじゃ。未来で待っておるぞ! ……もっとも、その頃にお主らは生きておらぬがな」


 にやりと笑うフローラ。彼女は最後に高笑いし、霧のように散って消えていった――――――――。

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