断ち切れぬ連鎖3
「お前、何言って―――」
「クリスっ!!」
「何……じゃと?」
フローラは己の目を疑った。なぜ、自分を倒さなかったのかと。
クリスは剣で自らの心臓を貫いた。
「兄さん」
彼は壁にもたれかかり、ゆっくりと腰を下ろした。
「兄さん。マルスは、彼は好きでああなったわけではなかったんだ」
蒼白な顔色をしていた。
「全部話したいけど……ははっ、時間が足りないな。真相は、こいつ―――フローラ―――が知っている。……僕がこうすることで何か変わることがあるのなら、それで構わない。ただ」
クリスは真っ直ぐゼロを見た。
「ベティを頼む」
「ああ……。分かった」
クリスは満足そうに頷き、息を引き取った―――。
「……さて、フローラ」
ゼロは銃口をフローラに向けた。
「そろそろ真相とやらを話してもらおうか」
フローラは両手を挙げ、降参のポーズを取る。「どこから話せばいいのかの?」
「最初からだ」
「そう大した内容はないがの。……マルスは、わしの弟じゃ」
「何だと……?」
「弟だったのじゃが、あ奴は先代―――つまり、わしの父上じゃな―――の考えに賛成できなかったようでの。奴は14歳だった時に国を飛び出したのじゃ。デスペラード王国に身を置き、謀反の機会を窺っておった。幾十年の時が過ぎてようやく、お主を見つけた」
彼は己の実力をよく知っていた。誰か良い逸材はないかと日頃探していた。そんな時、兵士として城にやってきた少年を見つけた。
あの少年ならできるかもしれない。
彼は即座に少年の素質を見極めた。その時から彼は少年の過去を調べ上げ、彼の実弟が光の楽園に奴隷として身を置いていることを知った。好都合だと思った。そしてその話を持ち上げ、光の楽園を滅ぼそうと少年に詰め寄った。だが、少年は首を横に振るばかり。
「どんなに酷い国だって、優しい人たちはきっといるはずなんだ。俺たちが自分の都合で勝手に滅ぼしていいなんてこと、これっぽちも無いんっすよ」
さらりと言う少年。彼の長年の夢は、ここで絶えた。そして彼は思いつく。
―――そうだ。戦う意思がないのなら、私の手で思い通り動く人形にしてやればいい。
「俺は……。俺は、それだけのために」
人生をめちゃくちゃにされたというのか。
「奴が憎いか?」
「さあ、どうだかな……」
正直よく分からない。なぜなら俺は、感情を持たないからだ。
「ただ一つだけ言えるのは―――」
俺は引き金を引いた。
「?!」
フローラは驚きに目を見開いて倒れた。
「な…ぜ、お主が引き金を引ける……? 引き金を引くのは、あの娘だったはず」
レイチェルのことだ。
「残念だったな。世の中そんなに甘くねえよ」
「く……クククククッ! 面白い! 世界の理が変わるというのか! つくづく面白い連中じゃ。未来で待っておるぞ! ……もっとも、その頃にお主らは生きておらぬがな」
にやりと笑うフローラ。彼女は最後に高笑いし、霧のように散って消えていった――――――――。