断ち切れぬ連鎖2
「っ……! やってくれますね……」
「いい加減諦めたらどうだ?」
俺は剣の切っ先をチャールズに向ける。レイチェルとニックも他方向から奴を追いつめた。
「くっ……!! ―――ん? ああ、その手がありましたか」
チャールズの視線の先には、負傷して動けない玲の姿があった。
「待―――!」
止めようとしたのも虚しく。チャールズは玲の元へ行くと、彼女の首筋にナイフを突き付けた。
「おっと。それ以上近づかないでくださいね? この子がどうなっても知りませんよ~?」
「人質とか卑怯だぞ!!」ニックが叫ぶ。
「酷い言われようですねぇ。これも戦術の一つですよ」
チャールズが優越感に浸った笑みを浮かべたその時。
「ゴフッ!! な、何を……?!」
奴は吐血した。驚いて玲を見ていた。彼女はナイフを手掴みで奪い取り、自分もろともチャールズを刺したのだった。
「早く!」
玲は苦痛に顔を顰めて言った。
「早く、こいつを倒して!!」
チャールズに対し嫌悪感を抱いていたニックが即座に動き、奴の首を切り落とした。
「玲!」
俺たちは玲に駆け寄る。
「こ…のまま……しておいて……」
玲が喋るたび、ヒューヒューと音がする。
「わたしはもう、こんな世界で生きていたくない……」
「玲……」
玲は静かに目を閉じ、そしてそのまま動かなくなった―――。
その時。
「クリスっ、危ない!!」
悲しみに暮れる暇もなく事態は進行していく。クリスはフローラの攻撃を避けきれず、壁に激突した。
「チャールズを倒したんだね」
クリスは起き上がって言った。
「……ああ」
その代償は大きかったけれど。
「そうか。良かった……」
奴は少しだけ笑った。
「今度こそ、本当のさよならだ」