表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
外の世界  作者:
外の世界
69/75

汝、光之國へ還りたまへ

 「鈴っ!!」


 クリスたちが駆けこんできた。玲ははっとして顔を上げた。彼女の傍にはチャールズとフローラがいる。玲は再び俯いた。


 「そんな……」


 たったそれだけのことで彼らは悟った。レイチェルは耐えられないというように顔を背ける。クリスはチャールズとフローラに目もくれず鈴のところへ行き、心から祈った。


 「君に、神の御加護を」


 鈴の表情は安らかだった。眠っているのかもしれないと彼らは思いたかった。けれど、それは叶わない夢だ。現実はいつだって厳しい。


 「フローラ」


 クリスはフローラを睨みつけた。すでに仲間を失った悲しみだとか、こんなことをした『敵』への慈悲だとかの生易しいものは一切なかった。

 

 何も考えないようにしたわけではない。そうしていたのが今までの自分だった。


 自暴自棄になったわけでもない。そうなれるほど、僕は子供じゃなかった。


 「僕はお前を許さない」


 「ほう。光属性の力を失ったお前に何ができるというのじゃ?」


 一人じゃ何もできない。この魔女ひとを倒すことなどできやしない、だから。


  






 


 もしも君がここにいたら何て言うだろう。……やっぱり、無茶なことは止めろと言うのかな。


 平和な世界を築くために戦っているわけじゃない。これは無意味な戦いなのかもしれない。僕が今まさに行おうとしていることは、きっと正しくないのだろう。私利私欲のためなんだろうと罵られてもいい、偽善だと言われたって構わない。





 彼女を倒すことでメグリヤ、君が救われるのなら。


 『彼ら』を倒すことで『君たち』が救われるのなら、正しくても正しくなくてもどっちだっていい。





 神様、あなたが残酷なのではない。あなたを残酷な神様に仕上げたのは僕自身だった。


 僕に与えられた力が何のためにあったのか今更分かったんだ。そう、それは―――。


 「何っ?!」


 フローラは寸前で攻撃をかわした。僕は聖剣デュランダルを両手で持ち直した。


 「力を失っているわけではないんだよ、残念ながら」


 「ふん。ならば、わしに油断させようとしたわけか?」


 フローラは嘲笑いながら魔法弾を放った。僕はそれを剣で弾き返す。


 何かを誤魔化すことはもう御免だ。だからこう言う。


 「あんたを殺してやりたかったからだ!」


 全ての始まりはこいつだ。こいつが元凶だったんだ―――。

 

 


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ