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外の世界  作者:
外の世界
66/75

再始動2


 「まさかお前……!」


 その時、木の上から人影がこちらへ向かって降りてきた。ゼロたちは心底驚いて呼吸をするのも忘れている。その人影は、自信に満ち溢れた口調で言った。


            

 「フローラを倒すには、『これ』が必要なんだよ」


               

 銀色の鉄の塊を手にしながら、『彼』は不敵に笑う。そう、今目の前にいるのは―――。


 「クリス!!」


 「戻ってきてくれたのね!!」


 レイチェルは嬉しさの余りクリスに抱きついた。クリスは一瞬だけゼロを見やり、困ったように笑いながら「ま、まあね……」とレイチェルを引きはがす。


 「どうしたんだ?」ゼロは訝しげに尋ねた。


 「え? あ、いや別に何でもないよ」


 ニックがわざわざそれを持ち上げる。


 「誰かさんが嫉妬しないように気を回したんだよな~?」


 「はぁ?」


 何言っているんだお前、と言わんばかりである。


 「やれやれ、自覚してないよこの人」


 「意味不明だが、まあいい。それより、どんな心境の変化だ?」


 ―――何かが吹っ切れたような表情をしてやがる。


 「あー……。ま、色々ね。あったということでして」気まずそうにクリスは言葉を切った。


 「……みんなに顔向けできないことは分かってる。この戦いが終わったら、僕は―――」





 「また逃げるの?」





 レイチェルはクリスの視線をしっかりと捉えた。言い返すための適切な言葉が見つからず、視線を外したクリスに彼女は何の迷いもなく言った。


 「逃げるなんて卑怯だよ。私たちはどんなことがあってもあなたの仲間なのに」


 仲間。その言葉を信じても良いのだろうか。


 「信じろよ。あんたは人を信用しなさすぎだぜ?」


 僕は見誤っていたのかもしれない。彼らの強さを―――。


 「それで、お前と双子をたぶらかした女帝サマの弱点とやらは何だ? クリス」


 ゼロに促され、クリスははっとする。「そうだった。これだよ、これ」


 「それは……? 初めて見るわね」


 鉄の塊が何の役に立つというのだろう。するとクリスは、ただの鉄の塊ではないと言った。


 「これは、『銃』というんだ」


 「銃?」


 「ああ。中には火薬の詰まった弾丸が入っていて、この引き金を引くと発砲する。これを女帝の心臓にブチ込むんだ」


 「どうして銃を使わなければ彼女フローラを倒せないのかしら?」


 「分からない。ただ―――」


 クリスは少し戸惑った後、言葉を続けた。「マルスが教えてくれたんだ」


 「マルスだと?」


 案の定、ゼロが訝しげに訊き返してくる。


 「銃をくれたのもマルスだよ。初めて見た時に使ってみたんだけど……これ、凄いね。どんなに遠く離れていても攻撃できる。―――とりあえず、兄さん。今のは聞かなかったことにしてくれ。早くしないと玲と鈴が危ない」


 「……分かった」


 ゼロは渋々頷いた。


 「後で奴の居場所を教えろよ」


 「はいはい、分かっています」


 どちらが兄でどちらが弟なのか分からないな、と傍目で見ているニックとレイチェルは苦笑していた―――。

 

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