謎の男
クリスが語り手となります。
きっと僕は許されないだろう。
それだけが僕に残された全てだった―――。
「何を悩んでおるのだ?」
背後から声をかけられた。気配に気付くことができなかった。けれど、もうどうでもいい。殺されようが殺されまいが僕にとってそれはすでにどうでも良いことになっていた。
「何を悩むことがある?」
男は先程とは違う問いかけをした。
「僕にも分からない……」
神は助けてくれなかった。それなら僕はどうすればいい?
この世に神は存在しないのだと思い知った。そして光属性の力を失った。
今の僕にできることなど何一つない。イハウェル側にも、光の楽園側にもつくことができない僕はどうしたらいいんだろう。
「お前は周りに気を配り過ぎだ。誰も傷つかぬようにと気を使い、そしてその結果、お前は愛する人を失った」
「どうしてそれを……」
「己を犠牲にした後に待ち受けていたのは何だ? 無力感だけだ。そしてお前は思ったはずだ。中途半端に力のある自分が何かを成し遂げられるはずもない、どちらにも味方できない。神に見捨てられたどうしようもない人間だ、とな」
「君は―――お前は何が言いたいんだ? 僕のことは放っておいてくれ」
誰かの下につくのはもう御免だ。仲間を裏切ることも。
「フン。さすが兄弟、そっくりだな」
「何?」
こいつ、今何て……?
「お前の兄もそうだった。誰の力も借りずに何かを為そうとする。ククッ、愚かなことだ」
長い銀髪。深いブルーの眼。僕はこいつのことを知っている。こいつは―――。




