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外の世界  作者:
外の世界
52/75

『LEC』本社ビル 14F


 「何? ここ……」


 十四階には何も無いし誰もいなかった。


 玲は窓に近付く。自分よりも大きな窓がいくつもあった。壁よりも窓の方が多いかもしれない。傍に立つと、自分がどこにいるのか分からなくなってしまいそうだった。


 「危ないっ!!」


 ゼロの声が聞こえた。玲は彼の方を振り返った。だがそこにゼロはいなかった。気付くと、玲はゼロに庇われていた。


 「あ~らら、外しちゃいましたか」


 にたりと不気味に笑う男。彼は先程まで玲がいた場所を、鋭い爪で抉っていた。


 「お前……誰だ?」


 「おや、ワタシのこと知らないんですか? 光の楽園の皇太子、チャールズですよ~ん」


 するとその時、メグリヤはゼロの前に歩み出た。「みんなは先に行ってて」


 「駄目だ! あんたが勝てる相手じゃない!!」


 ゼロには分かっていた、彼が今までの敵と違うことに。だが、メグリヤは振り返りもせず言い放った。


 「あなたに避けられない戦いというものがあるのなら。これは、私にとって避けられない戦いよ」


 「どうするの、ゼロさん!?」


 玲が困ったようにゼロを仰ぎ見る。ゼロは瞼を伏せ、考えた。避けられない戦い、それがどういう意味を持つのかを。もし俺がそんな場面に遭遇したとしたら――――。


 「……行こう」


 「ゼロ?!」


 レイチェルは訴えるかのように彼の名を呼んだ。自分の知らない間に仲間がどうなっているのかが分からない、それが怖いのだと。だが、彼はそれを無視した。


 「メグリヤ。絶対に負けるなよ」


 「ええ、もちろん」


 そうしてメグリヤは、ゼロたちと別行動を取ることになった―――。









 「チャールズ……!!」


 メグリヤはキッと彼を睨む。彼女がここまで敵意を見せたのは初めてかもしれない。


 呼ばれたチャールズは彼女の方を見た。


 「お久しぶり~、メグちゃん。アナタをいつも守ってくれる番犬は、どうやら今日はいないようですねぇ」


 クリスのことを言っているのだとメグリヤはすぐに分かった。


 「それがどうしたと言うの……?!」


 「彼、今どこにいると思います?」


 「私の知ったことじゃないわ!!」


 メグリヤは懐から数十本の毒針を取り出し、チャールズ目掛けて投げた。チャールズはマントをひるがえし、全ての毒針を受け止める。


 「そう怖い顔をしないで楽しみましょうよ、この喜劇を……ね」

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