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外の世界  作者:
外の世界
23/75

始動


 メグリヤに連れられて来たのはレイリンだった。

 あの事件から二年。久しぶりに再会した彼らはあの時よりもやや大人びて見えた。

 「クリス兄っ!」

 鈴がクリスの元に駆け寄る。

 「いつからここに来ていたの?」

 「今朝、かな」

 「来るなら来るって言ってよね。俺たち、クリス兄が来るの楽しみにしてたんだからさ」

 なあ? と鈴は玲に話を振った。

 「そうね」

 玲は相変わらず澄ましている。だが、彼女は微笑んでいた。

 クリスは心の底からほっと安心する。二年前の彼らの面影は、見当たらなかった。

 「あれ? クリス兄、その人たちは誰?」

 「もしかして、初対面なのかい? 今メグリヤと話をしているのがゼロ。僕の兄さんだ。で、彼女がレイチェル。二人とも良い人だよ」

 「ふうん。ゼロとレイチェル、か」

 「鈴。年上の人に対して呼び捨ては駄目よ」

 玲は鈴をたしなめる。「だって」と鈴は困った顔をした。

 「クリスは『クリス兄』、メグリヤは『メグ姉』だろ。俺らの恩人だしな。だけど、ゼロとレイチェルはどう呼べばいいか分からないよ」

 クリスは鈴の口調が二年前と違うことに気付いた。だが、ところどころ懐かしい口調も出てくる。

 イハウェル王国で施された治療により玲と鈴―――彼らは双子である―――は、徐々に健康な身体を取り戻しつつある。長年成長が止まっていたせいで身長や体重、体力などが年齢相当ではないと医師に宣言されたが。

 玲が笑うようになったり鈴が生意気になってきているのは、彼らがちゃんと成長している証だとクリスは思っていた。

 彼らは、人として成長しているのだ。決して『人形』なんかじゃない。

 「そういう時は、『さん』を付けて呼べばいいのよ」玲が言う。

 「ゼロさんとレイチェルさん、か」

 そこで、鈴はにやりと笑って言った。

 「悪くないね」





 「顔を上げよ」

 冷たく鋭い声が王室に響き渡った。

 「お主に応えてもらわねばならぬことがある」

 光の楽園の王女、フローラの眼下にいるのは一人の兵士だ。

 「お主は真に我が国の味方なのであろうな?」

 兵士は顔を上げないまま答えた。

 「もちろんでございます、フローラ様」





 「クリス兄?」

 はっと顔を上げると、そこには鈴がいた。心配そうに顔を覗きこんでいる。

 「クリス兄、大丈夫なの? 顔色悪いよ」

 「……大丈夫だよ。それより、鈴」

 「?」

 「口調、元に戻ってる」

 鈴ははっとして、手で口を塞いだ。

 「も、戻ってない!! クリス兄の勘違いなんじゃないの?!」

 「あははっ、面白いね」

 「面白くない!! フユカイだっ!」

 「ねえねえ、何話してるの~?」

 レイチェルがやって来る。クリスが鈴で遊んでいるのを見て、おもしろそうだと思ったようだ。

 ―――からかわれ過ぎて鈴が涙ぐんできた頃。ゼロが助け舟を出した。

 「お前たちに客が来たみたいだぞ。相談したいことがあるらしい」

 

 

 

 

 

 

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