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外の世界  作者:
無限ホール
2/75

似てない双子(ニテナイ フタゴ)2


 博士ハカセはいつもそうだ。外、外、外。

 うるさい。どうでもいい。そんなこと、言われなくても分かっている。僕は外になんか憧れていない。それなのに博士は言うんだ、まるで呪文のように、それを言わなければ全てが終わってしまうとでも言うかのように。

 僕は、博士アンタが嫌いだ。

 「どうして?」

 気がつくと、そこには玲がいた。

 「どうして、博士を悪く言うの?」

 玲は僕の気持ちを見透かしているようだった。彼女は冷たい目をしていた。

 僕には彼女の考えていることが理解できない。

 外に憧れているのは僕ではなく彼女だ。外に出ることを許さない博士はまさしく彼女の敵だった。それなのに、彼女は博士を庇う。

 「ごめん、玲」

 僕には君のことを理解できないよ。

 「ごめん」

 「もういいよ、スズ。気にしてない」

 彼女はこちらに向いていたが、僕を見ているわけではなかった。玲の目に映るのは、一体何なのか。それを知るすべを、僕は知らない―――。

 「お前はそれでいいのか?」

 キリエさんは訝しげに尋ねた。キリエさんは元からここにいた人間ではないらしい。だが、彼女から外のことについて聞いたことはないし、僕だって聞くつもりはない。

 僕が何も言わずにいると、キリエさんは再び訊いた。「あのレイは、このままでいいと思っているのか?」

 「……知らないよ、そんなこと。僕に聞かないで」

 似てない双子。それが僕たちだった。双子だから性格も同じだろうと決めつける人は多いが、僕たちの場合は違う。外見は似ているけど、性格は全く違う。

 キリエさんがここではどういった存在なのか、未だに分からない。何かしてくれるわけでもなく、ただそこにいるだけだ。彼女がどうしてここにいるのか、きっと博士しか知らない。

 「あのレイは何を思っているのだろうね」

 「それは僕が聞きたいよ」

 すると、キリエさんは肩を竦めて「まあ、どうでもいいけどね」と言った。

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