表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
外の世界  作者:
無限ホール
11/75

狂った世界 (クルッタ セカイ)4


 「一体どうなっているんだ……」

 クリスは溜息をついた。さきほどから頭痛がする。

 博士の死体が発見されてから随分と経った。さっさと国に帰りたいのは確かだが、彼らにはここを去れない理由がある。

 「私たちとここから出ない?」

 メグリヤは玲と鈴を説得している途中だった。二人は首を縦に振ってくれない。保護者がいなくなってしまった子供を放っておくことなど、彼らにはできなかったのだ。

 その時、ずっと黙っていたウィリアムが立ち上がって言った。

 「帰るぞ」

 「でも」メグリヤが言う。

 「無理やり連れて行く必要はないだろう。私たちにそんな責任はない。大体、ここにはキリエという女がいるじゃないか」

 メグリヤは口をつぐんでしまった。

 調査によると、この双子は博士ともキリエとも血の繋がりは無いらしい。だが、彼らが保護者だということに間違いはなかった。ウィリアムの言う通りだ、自分が介入する隙間などない。

 「そういえば、キリエは?」

 クリスはふっと顔を上げて辺りを見渡す。そこにキリエの姿はなかった。

 「みんなで探しに行こう。博士を殺した犯人が分からない今、一人で行動するのは危険だ」

 暫くして、玲がクリスに声をかけた。

 「キリエさん、もしかしたら自分の部屋で寝ているのかもしれないわ」

 その時、仲間から報告があった。「どこにもいないぞ」

 それを聞き、クリスは頷いた。

 「……行ってみよう」

 







 「キリエさん! キリエさん!!」

 呼んでみる。だが返答がない。ドアノブを回してみるが、ドアの鍵はかかっていた。

 「こうなったら仕方がない。玲、彼女の部屋の鍵を持ってないか?」

 「それが……」

 玲は俯いて言った。「昨日から、鍵が見当たらないの。普段は食堂に置いてあるのに……」

 「分かった、扉をブチ破ろう」

 








 キリエは死んでいた、誰も入れない状態の部屋の中で。

 彼女は首を吊っていた。首の締め方に不自然なところは見当たらなかった。遺書らしきものと、鍵の束が机の上に置いてある。





 『罪を犯したのは私です』





 ワープロで打ったものらしい。それだけしか書かれていなかった。

 「博士を殺したのは彼女、ってことか?」

 「ふざけるなっ!」

 それまで黙っていた鈴が絶叫に近い声を上げた。クリスたちは驚いて鈴を見た。

 「キリエさんが、博士を殺すわけがない!!」

 そう言い放った彼は、肩で息をしていた。涙で頬が濡れていた。

 「お前たちが来たから博士とキリエさんは死んだんだ!」

 ―――この悪夢はいつまで続くんだ。何がどうなっている。

 「……僕は違う。僕は犯人じゃない。それに、玲が博士たちを殺すなんてことするはずがないんだ。どう考えても、あんた達の中にしか犯人はいないんだよ」

 「落ち着け。今までの私たちには博士との関わりがなかった。今回ここに訪れたのは、彼に協力してもらいたいことがあったからだ。私たちが彼らを殺して何の得になると言うんだ?」

 ウィリアムは淡々と言った。

 「……分からない。でもっ、僕と玲は違う!!」




 





                  裏切り者は誰だ?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ