似てない双子 (ニテナイ フタゴ)
編集し直しました。
気がつくと君はそこにいた。
気がつくと僕はここにいた。
僕たちは外の世界を知らない。テレビで見たことはあるけれど、実際に外の世界を見たことはない。僕たちの世界は『ここ』だった。『ここ』が君と僕のいる場所だった。
それなのに。
君は行ってしまった、どこか遠くへ。そして君は言うんだ、「まだそこにいるの?」と。
君の見た世界を僕は知らない。僕の世界は『ここ』で終わる。
「何をしているの?」
殺風景な廊下。ゴシック調の窓。モノクロの世界。
佇む彼女に僕は訪ねた。すると彼女は振り返る。「外を見ているのよ」
「ねえ、空って綺麗だと思わない?」
彼女は言う。そうだね、と僕は頷く。
「今日はいい天気ね。私、青空って好きよ」
僕の双子の姉―――玲―――は、そう言って微笑んだ。
彼女は美しい。けれど、玲には何かが足りない。その笑顔に感情がない。彼女の美しさは人形のそれと何ら変わらなかった。
なぜ彼女にココロがないのか、僕には分かる。分かるけど、それに何の問題があるのか僕は解らない。
博士は言った。「ここから出てはいけないよ」
博士は言った、外には何もないんだと―――。