表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第一部完結】雪割草の咲く頃に  作者: BIRD
異能を継ぐ者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

72/82

第53話:第三の異能

 ニーカの次に異能に目覚めたのは、【太陽の光】という意味の名を与えられたアリョーナ。

 アリョーナは一番最後に孵化した子で、乙女の姿に変身する【覚醒】も一番最後だった。

 戦乙女たちの異能の目覚めに、生まれた順や覚醒した順はあまり関係ないらしい。


「太陽の光って、草や木々に育つ力を与えますよね? 私はみんなの力を増やしてあげられたらって思ったら、多くの人をサポートする異能に目覚めたみたいです」


 そう言って微笑むアリョーナの初陣は、ヴォルグ軍の兵士たちの遠征。

 第一皇子と第二皇子の兵力は拮抗しており、互いに一進一退を繰り返している。

【発現】したアリョーナの異能を見たヴォルグは、彼女に兵士たちのサポートを命じた。

 出征前に練習をしたので、味方の兵士たちもアリョーナの異能を知っている。


 一方、ヒュブリス軍は、最新型の重火器を揃えていた。

 戦地が障害物の無い平原であり、飛び道具の性能勝負と考えてのことらしい。


「蹴散らせ! 焼き尽くせ! こちらへ1歩も踏み込ませるな!」


 兵士長が砲兵たちを鼓舞する。

 ヒュブリス軍の砲兵たちは、高初速で弾道が低伸性に優れるカノン砲を操作して、ヴォルグ軍の殲滅にかかった。

 しかし、砲撃を受けた筈のヴォルグ軍は、全く無傷で平然としながら進軍を続ける。


「барьер(防壁)」


 兵士たちの後方で、アリョーナは異能を起動する。

 味方を覆う不可視の防壁は、ヒュブリス軍からは全く見えない。


「どういうことだ?!」

「はずしたか?!」

「馬鹿いえ、目視できる距離で奴等のド真ん中に撃ったぞ?」


 カノン砲を発射した砲兵たちも兵士長も、ヴォルグ軍が何故無傷なのか分からなかった。

 野戦向きに砲と砲架が軽量化されているとはいえ、カノン砲の直撃で無傷はありえない。


「Усиление силы атаки(攻撃力強化)」


 アリョーナは防壁を維持しながら、次の異能を発動する。

 今回出兵したヴォルグ軍戦車中隊12両の砲撃威力が、大幅に引き上げられた。


「撃て!」


 ヴォルグ軍の兵士長が命じた直後、全ての戦車から一斉に砲弾が放たれる。

 それは1発がカノン砲以上の高火力を与えられた砲撃だった。


「うわぁぁぁ!」


 そんなものが12発も撃ち込まれ、ヒュブリス軍は一気に壊滅状態となる。

 カノン砲すら大破してしまい、砲兵たちの悲鳴が上がった。


「よし、生存者を拘束しろ!」


 ヴォルグ軍兵士長が命じる。

 ヒュブリス軍の兵士たちのうち、即死した遺体を除く重軽傷者が拘束された。


「Лечение(治療)」


 アリョーナは拘束されたヒュブリス軍兵士のうち、重傷を負ってグッタリしている者たちに異能を発動させる。

 出血が止まり、傷口が塞がる様子を、意識のある負傷者たちが驚愕しながら見ていた。


「ど……どうなってるんだ……」

「あの大怪我が、一瞬で治っちまったぞ……」


 戦乙女の存在を知らないヒュブリス軍の兵士たちは、奇跡を見るような気持ちでアリョーナを見つめる。

 アリョーナは聖母のような慈愛に満ちた笑みを浮かべ、敵対していた兵士たちを見つめた。


「ヴォルグ様の軍に入れば傷つくことはほとんど無く、万が一負傷しても生きてさえいれば彼女が治してくれる。お前たちは同じシュタルク国民、悪いようにはしないから投降しろ」


 兵士長が穏やかな声で説得にかかる。

 奇跡のような異能を見た兵士たちは完全に敵意を失くし、後にヴォルグ軍に加わることとなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ