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【第一部完結】雪割草の咲く頃に  作者: BIRD
異能を継ぐ者

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第50話:新スタッフ

 アナスタシアは、環境適応能力の高い女性だった。

 側妃の地位を剥奪され、侍女になることを強いられても、その立場を悲観せずに生きられるくらいにメンタルの強い貴族女性は少ない。

 他の側妃たちは、自分よりも身分の低い侍女に仕事を押し付けてサボッたり、愚痴ばかり漏らしている。

 アナスタシアは一切文句を言わずに過ごしてきており、自らの妊娠を知ってからは我が子を護りたいという強い意志をもって生きるようになった。


「ここで働かせてもらえませんか? セリオス皇子の慈悲に甘えているわけにはいきませんから」


 民宿西野。

 長期滞在が決まると、アナスタシアはスタッフになりたいと女将の風花に願い出た。


「掃除でも洗濯でも何でもします。侍女として働いていた経験がありますので、少しはお役に立てるのではと思います」

「そうね、今ちょうど宿泊数が多くて人手が欲しかったから、働いてもらおうかしら」


 セリオスと騎士団が長期滞在していることもあり、風花はアナスタシアの要望に応える。

 早速働き始めたアナスタシアは、予想以上にデキる人だった。


 客室のシーツ交換を頼めば、シワ1つない完璧な仕上がりでアッという間に終わらせる。

 掃除機をかけてもらえば、短時間で全室済ませて窓枠にホコリも見当たらない仕上がりに。

 調理補助に入れば、熟練の料理人かと思うような包丁さばきを見せた。

 更には趣味だというお菓子作りがパティシエレベルで、甘い物が大好きな風花は大喜びだ。


「ナーシャさん凄いわ! もうずっとうちにいてちょうだい」

「はい風花さん、是非いさせて下さい」


 風花は絶賛し、アナスタシアは女将に愛称で呼ばれて頼りにされるスタッフとなっていった。



 ◇◆◇◆◇



「ナーシャ義母様(かあさま)は、兄様たちの帝位争いが決着しても、帝国にはもう帰らないつもりですか?」


 セリオスはアナスタシアを義母様(かあさま)と呼ぶ。

 その呼び方は、異母弟シェースチが生きていた頃と同じ。

 アナスタシアが側妃の地位を剥奪されてからは、実母アンゼリカから禁じられた呼び方だった。


「はい。定住者ビザを取得したので、5年後か10年後に永住ビザの取得を目指します」


 セリオスが再び義母様(かあさま)と呼んでくれることを嬉しく思いつつ、アナスタシアは帝国には帰らない意思を伝える。


 外国人が日本に定住するには、永住ビザの取得が主な方法だが、それには条件があった。

 永住ビザを得るためには、素行が善良であること、独立した生計を営む資産または技能を有すること、日本国の利益になると認められること、そして原則として日本に10年以上(定住者は5年)在留していることなどが求められる。

 アナスタシアはその条件を満たしていないので、 まずは定住者ビザを取得しようと考えた。


 定住者ビザの主な条件は、法務大臣が特別な理由を考慮し、一定の在留期間を指定して居住を認める者であること。

 具体的には、日系人、日本人または永住者の配偶者の子、日本人または永住者との離婚・死別後、難民の認定を受けた外国人など。

 難民認定を受けるには、まず居住地を管轄する地方出入国在留管理局に難民認定申請書と必要書類を提出する。

 その後、入国審査官(難民調査官)との面接を経て、難民認定の可否が決定される流れだ。

 アナスタシアはシュタルク帝国にいると命の危険があるため、難民の認定を受けて定住者ビザを取得した。

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