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【第一部完結】雪割草の咲く頃に  作者: BIRD
異能を継ぐ者

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第37話:盆踊り

 夜店を眺めつつ村の中央にある神社の境内に入ると、大昔から盆踊りの定番になっている北海盆唄に合わせて輪になって踊る人々が見えてきた。



 ハアー 北海名物 (ハドウシタ ドシタ) 

 数々 コリャ あれどヨ (ハァ ソレカラ ドシタ)

 一にナ 一に追分 コリャ

 ソレサナ 盆踊りヨ


 (ハ エンヤ コラヤ

 ハ ドッコイ ジャンジャン コラヤ)


 ハアー 浜は大漁で 鷗も コリャ踊るヨ

 陸じゃナ 陸じゃどの田も コリャ

 ソレサナ穂が重いヨ


 ハアー 団扇片手に 涼みの コリャ浴衣ヨ

 行こかナ 行こか踊りに コリャ

 ソレサナ広場までヨ


 ハアー 富士をはさんで 南に コリャ北にヨ

 唄とナ 唄と踊りの コリャ

 ソレサナ輪がゆれるよ



 北海盆唄ほっかいぼんうたは、北海道の民謡だ。

 北海道の盆踊りで使用される曲でもある。

 幾春別いくしゅんべつの炭鉱が発祥の地であり、北海道各地でお盆になると盆踊り用の曲として用いられる。

 元は「べっちょ節」と呼ばれる卑猥な歌詞を持つ歌だった。

 炭鉱労働者が盆踊りとして踊っていたそれを、太平洋戦争後に今井篁山が歌詞・曲調を修正したという。

 三橋美智也の歌によりレコード化、大ヒットしたことがきっかけに全国的に普及した。


「やってるやってる」

「あれが流れてるってことは、子供の部は終わったみたいだな」


 美冬と春樹が言う。

 この村の盆踊りは、夕方の早い時間の「子供の部」と、その後に続く「大人の部」の二部構成である。

 夕方から日没までの時間帯が子供の部で、【子供盆おどり唄】」が流される。

 夜は大人の部で、【北海盆唄】が流れ、小学生以下は家に帰されるのが常であった。


 民謡独特のスローテンポ、日本人ならその曲を知らなくても「盆踊りっぽい」とか思うかもしれない。

 外国人のセリオスや騎士たちには、異国情緒あふれる曲といったところか。

 境内の中央には櫓が立てられていて、村人たちが周囲を回りながら音頭にあわせて踊っている。


「なるほど、男女の区別無くあの動きを繰り返すのか」

「セリオスも踊ってみる? 初めてでも櫓の上で踊ってる人を見れば、なんとなく踊れるから」

「うん、宮廷ダンスよりずっと簡単そうだ」


 先に輪の中に入って踊る春樹と美冬を眺めながら、セリオスが言う。

 愛歌が問うとセリオスは頷き、初めての盆踊りに参加した。

 法被姿の騎士たちも、さりげなく踊りの輪に加わる。

 一気に外人率が上がるが、村人たちは慣れっこだ。

 観光地にある村では、外国人が祭りを見に来ることも見様見真似で盆踊りに参加することも珍しくはない。

 騎士たち民宿西野の法被を着ているので、外国人の血を引く西野家の親戚か何かだと思われているようだ。


「西野さんち、今年は賑やかそうね」

「あの金髪の可愛い子、女の子かな?」


 夜店で買い食いする村人たちが、踊りの輪を眺めながらそんなことを話している。

 男物の浴衣を着ているのにセリオスが女の子と間違われているが、本人は全く気付いてなかった。

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