第28話:西野家のルーツ
「愛歌、冬斗と冬馬を呼んできてくれ。この際家族みんなに話しておこう」
父・優人に言われ、愛歌は兄たちを呼びに行く。
何だろう? と思いつつ双子が居間に来ると、父は今まで明かしていなかった西野家の祖先の話をしてくれた。
「うちの家系に金髪が多いのは、先祖に北方民族がいたからという話は知っているね?」
「「「はい」」」
優人の問いかけに、子供たちが答える。
母の風花も静かに話を聞いていた。
「実は私達の先祖の中には、人間ではない者もいたんだ」
「「「えっ?!」」」
優人が明かす秘密に、子供たちは揃って驚く。
風花は既に知っていたようで、穏やかに話を聞いている。
優人はソファから立ち上がり、居間から出ると隣の仏間へ行き、仏壇の奥から長方形の桐の小箱を取ると戻って来る。
不思議そうに見ている子供たちに、父は桐の小箱を開けて見せた。
(白い羽? 先祖は鳥だったってこと?)
キョトンとする兄たちとは違い、これまで度々白鳥から話を聞いていた愛歌はその意味を察する。
優人は小箱から1枚の白い羽を取り出すと、傍らで一緒に話を聞いている白鳥にも見せた。
「これは、君が持つものと同じものだね?」
優人は、テレパシーではなく音声会話で白鳥に問いかける。
白鳥が頷き、その身体から雪のように白い燐光を放ち始めた。
光に包まれる白鳥の身体が、縦に長くなると女性の姿に変わる。
夢のように美しく、神秘的な変化。
やがて姿を現したのは、艷やかな黄金の長い髪、大きな紫水晶のような澄んだ瞳、色素の薄い白磁の肌に白いドレスを纏う女性。
美形揃いの西野家の人々に囲まれても見劣りしない美女が、穏やかに微笑んだ。
「私はソーニャ。貴方たちの祖先と同じ、帝国に創られた生き物よ」
白鳥から乙女に変わった彼女は自らの名を伝え、驚く愛歌たちに微笑みながら告げた。
驚いて沈黙する愛歌たちに、白鳥の乙女は話し始める。
自らが、第二皇子ヴォルグの下僕であり、寵愛を受ける者であること。
その身は人外であると共に、帝国の失われた古代兵器であること。
西野家の祖先にも、自分と同じ生き物がいたであろうこと。
暗殺者をアッサリ撃退する愛歌は、古代兵器として創られた祖先の遺伝子によって人並外れた身体能力を得たのだろうとも告げた。
「この羽の持ち主のデータは、帝国の古代遺跡には無いわ。もしかして卵のうちに持ち去られたか、覚醒前に逃げ出したのかしら」
優人に差し出された白い羽を手に取り、じっと見つめてソーニャは言う。
ソーニャに反応したのか、羽が白い燐光を放ち始める。
「同胞よ、教えて。貴方が秘める真実を」
ソーニャが呼びかけると、羽はひときわ強い光を放った。




