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【第一部完結】雪割草の咲く頃に  作者: BIRD
異能を継ぐ者

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第25話:民宿の夕食

「美冬ちゃんと春樹くんも手伝ってくれてありがとう。一緒に晩ごはんを食べていきなさい」

「「はーい!」」


 配膳を手伝っていた美冬と春樹が厨房へ行くと、白いコックコートを着た金髪イケオジが穏やかに微笑んで言う。

 民宿西野のオーナーであり料理長でもある西野優人にしのゆうとは、娘や息子たちと同じ中性的な美貌をもっていた。


「はいこれ、お駄賃に受け取ってね」

「「ありがとうございまーす!」」


 金髪揃いの西野家で唯一の黒髪美女は、女将の風花。

 村のオヤジたちがマドンナと呼ぶ上品な女性で、村の熟女たちが憧れる優人のハートを射止めた女性でもある。


「優人おじさん今日もイケメンだわ~、私のパパと取り替えたいくらい」

「風花おばさん綺麗だな~、俺の母ちゃんと同い年とは思えない」


 セリオスたちと一緒に食事をするため宴会部屋へ向かいつつ、美冬と春樹は少しポーッとしつつそんなことを言っている。

 美形揃いの西野家の人々は、村の子供たちにも人気があった。


「2人ともお疲れ様! こっちに座って食べて」


 宴会場に入ると、お客の案内をしていた愛歌が美冬と春樹の席を教えてくれた。


 本日の夕食は肉料理メインが鹿肉のタタキ、海の幸メインとして毛蟹、汁物として石狩鍋、小鉢は秋刀魚の昆布巻き、サラダ、漬物、白飯。

 鹿肉はスライスしたニンニクと一緒に炒められており、臭みは無く和牛フィレ肉のような美味さ。

 毛蟹は食べやすいように足は切り離して半分ほど殻を削ぎ、裏返した甲羅を皿代わりにカニミソと身の一部が盛り付けられていて、ミソと絡めた身の味は絶品。

 石狩鍋は1人1人小型の鉄鍋と七輪が配された食べきりサイズで、具を食べた後の煮汁に白飯を入れて雑炊にする楽しみもある。

 秋刀魚の昆布巻きは甘辛く味が染みていて、ごはんが進む。

 どれも北海道ではよく食べられている料理で、地元民の愛歌たちには馴染みの食べ物だ。


「こんなに美味しい物を、我が国ではほとんど食べずに日本へ輸出していたんだなぁ」

「王宮の料理人が取り扱うのはカムチャツカクラブ、日本語でいうと【タラバ蟹】だけでしたね」


 セリオスとロウは器用に箸を使い、カニ身にカニミソを付けて食べている。

 毛蟹は帝国南部でも水揚げされるが、帝国人はあまり毛蟹を食べない。

 帝国から来た人々は、北海道に来て初めて毛蟹を食べる人が多かった。


「なんと、これはジャガイモやカボチャで作られているのですか」

「ジャガイモやカボチャを蒸して潰して片栗粉を混ぜると、モチモチした団子になるんですよ」


 騎士隊長アレクセイと会話しているのは、料理の説明を兼ねて雑談にきた優人。

 アレクセイは石狩鍋に入っていた【いも団子】と【かぼちゃ団子】が気に入った様子。

 騎士たちも団子の作り方を興味深く聞いており、中にはメモをとる者もいた。

 このとき聞いた作り方が孤児院の料理人に伝えられ、孤児たちの大好物となるのは後のお話。

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