第21話:謎の白鳥
昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴ると、白鳥はそれを知っているかのように教室から出ていく。
『放課後にまた来るわ』
などと予告を残して。
愛歌は白鳥にテレパシーで話しかけられたことを、美冬と春樹とセリオスに話した。
「愛歌ってば、白鳥にまでモテ始めたの?」
「アイカは魅力的だからね、白鳥も魅了するんだろう」
「いや、その前に白鳥がテレパシー使う件について気にならないか?」
美冬とセリオスが天然風味な会話をすると、春樹がツッコミに回る。
話題の白鳥は、放課後になると窓から飛び込んできた。
愛歌たちは水面を滑るように着水する白鳥は見たことがあるが、床でカッコよくスライディングをキメる白鳥を見たのは初めてだ。
「本当に来た」
「窓開けてて良かったね」
「一緒にお茶でも飲むかい?」
「カフェインは動物によくないぞ」
半目で呟く愛歌に、ニコニコしながら美冬が言う。
その隣でセリオスが呑気に言うと、春樹が普通に忠告する。
その後、春樹はバスケ部の練習へ、美冬は文芸部の会合へ行き、セリオスは騎士たちが迎えに来てガッチリ護衛されながら帰っていった。
『あなたは卵から生まれた記憶が無いの?』
『そんな記憶は無いよ』
『生まれたとき、足元に殻が落ちてなかった?』
『赤ちゃんの頃のことなんて何も覚えてないよ』
白鳥は愛歌に興味があるらしく、色々なことを聞いてくる。
卵から生まれた記憶があるかと問われても、愛歌にはそんな過去の記憶は無い。
『生まれて初めて見たのは誰か、覚えてない?』
『覚えてないけど、多分お母さんじゃないかなぁ』
『孵化の記憶は大切よ。失くしたら誰が主か分からないじゃない』
『そう言われても覚えてないものはしょうがないし、私は人間だから卵から孵化はしないよ』
愛歌は自分が北海道北部の生まれで、両親がいて産婦人科で自然分娩での出産だと答えた。
白鳥は怪訝そうに首を傾げる。
『そんな筈ないわ。だってあなたから私と同じ系統のオーラを感じるもの』
『そんなこと言われても、私にはオーラなんて視えないし』
いつの間にか、愛歌は白鳥とのテレパシー会話に慣れてしまっている。
彼女はスポーツ系を少し経験しただけで大会優勝レベルまで上達してしまうのだが、テレパシーもそんな感じで学習してしまったらしい。
『覚醒しているのに、オーラが視えないの?』
『覚醒って何のこと?』
『人間の姿になることよ』
『私は生まれたときから人間だよ』
『生まれつき人化しているの?』
どうも白鳥は愛歌を人間として見ていない。
自分の同族だと思っているらしい。
しかし愛歌は人間のつもりだし、両親から人外だなんて話は聞いたことがなかった。




