第7話:護衛勧誘
放課後。
セリオスは愛歌の手を取り、微笑みながら熱心に話しかけている。
愛歌は驚いたように目を丸くして、セリオスを見つめている。
見つめ合うキラキラサラサラ金髪コンビは、遠目から見るとイイ雰囲気なのだが……
「頼むアイカ、私の護衛になってくれないか?」
「え~と、私、普通の学生だよ?」
……セリオスは愛歌を自分の【護衛】に欲しいと口説いている。
(見た目に反してロマンが無いわっ)
(普通の学生なのに暗殺者倒したもんなぁ)
近くで聞いている美冬と春樹が、心の中で呟く。
友達になったセリオスを、愛歌たちがお気に入りのカフェ【吐夢宗谷】に誘ったのが始まり。
騎士団の面々が同行するというのをセリオスが嫌がり、せめて4~5人ぐらいは護衛を付けて下さいと側近のロウに懇願された。
するとセリオスは、愛歌なら騎士団の団員数人分の戦力があると言い出し、護衛になってほしいと口説き始めて、現在に至る。
「無茶ですよ殿下。学生が護衛だなんて」
「あの暗殺者たちはおそらく、油断をしたから倒されただけですよ」
「お前たちはあの現場を実際に見ていないから、そんなことが言えるのだ。ロウ、お前は見ていたな。お前ならアイカに護衛が務まると思うだろう?」
「そ、それは……」
隊長と補佐役の団員が苦笑しつつ無茶ぶりを止めに入る。
セリオスは愛歌が低く評価されている(?)と感じて不満そうに言い返し、あの現場を知るロウに同意を求めた。
ロウはといえば、暗殺者たちを倒す姿から愛歌をプロの傭兵と間違えたことはあるが、女子高生に皇子の護衛が務まるかは判断がつかない。
「殿下、それならば、団員5名と愛歌どのが素手で対戦し、勝った方が護衛となるということでいかがでしょうか?」
「アイカ、それでいいかい?」
なんと、まさかの【拳で語れ】提案である。
(なにその脳筋提案?!)
(さすが騎士団、筋肉で語るのか)
美冬と春樹がまた心の中で呟いていた。
「えっと、対戦は帝国式マーシャルアーツでいいの?」
「おお! 習ったことがあるのかい?」
「うん。うちの実家はその道場もしてるの」
「それは興味深い。是非手合わせ願いたい」
愛歌は、苦笑しつつも騎士団の提案を受け入れた。
帝国式マーシャルアーツはシュタルク帝国に伝わる古武術で、武器を使用しないのが特徴である。
流れるように滑らかな動作、時に素早く力強く、相手に傷を負わせず倒すことができるのが特徴だ。
「じゃあ、武道館へ」
愛歌はそう言うと、学園の武道館へセリオスたちを案内した。
興味津々な美冬と春樹もついていく。
ゾロゾロ歩く彼等とすれ違う生徒たちは、何か面白そうな雰囲気を感じ取り、野次馬と化して後ろからついていった。




