第6話:友人
「君たちが宗谷学園の生徒なら、また会うことになるだろう」
ティータイムを終える頃、セリオスは愛歌たちにそう告げて微笑む。
その言葉から、もしやと予感した愛歌たち。
翌朝、愛歌と美冬は予想してたのとちょっと違う状況にポカンとすることになった。
「帝国からの留学生セリオス・ミーラヤ・シュタルク君です。王族の方なので騎士団の護衛がついてたりしますが、気にしないであげて下さいね」
「よろしく。身分を気にせず気楽に話しかけてくれたら嬉しい」
担任の隣に立ち、紹介されて微笑むセリオス。
彼は、愛歌と美冬のクラスに編入生として入ってきた。
「凄い、本物の王子様って初めて見た」
「騎士団の護衛つきなんだ。流石」
生徒たちがザワつく。
今日が初対面のクラスメイトたちは、セリオスが王族と聞いてオオ~と目を丸くしている。
(えっ? 同い年?)
(年下かと思ってた……)
既に面識のある愛歌と美冬だけが、クラスの中で驚きの理由が違っていた。
体格の良い者が多い帝国では珍しく、セリオスは年齢の割にかなり小柄で華奢な少年である。
長身の愛歌と並ぶと、セリオスの頭頂部が愛歌の肩くらいだったりする。
平均的な16歳女子の身長である美冬ですら、セリオスよりも背が高い。
だから愛歌たちはセリオスを中等部くらいの歳だと思っていたので、同じクラスに入ってきたのは予想外だった。
「シュタルク君の席は、西野さんの隣です」
「やあ、昨日ぶり」
担任に言われたセリオスは、愛歌の隣まで来るとニコッと笑いかけて席についた。
「殿下、サプライズ過ぎ」
「驚かせるつもりだったからね」
愛歌が半目で言うと、セリオスは悪戯っぽく笑って答える。
彼は愛歌の学生証を見ていたから、わざと同じクラスを選んで編入したのだ。
ほどなくして朝のHRは終わり、1限目の授業前の休憩時間。
隣のクラスの春樹が噂を聞きつけて、愛歌たちの教室を覗きにきた。
「おおっ! ほんとに来てる!」
「ハルキが同じクラスじゃなくて残念だよ」
敬語どっかいったらしい春樹に、にこやかにセリオスが応える。
美冬も自分の席を離れて、セリオスのところに来ている。
「セリオスは飛び級してるの?」
「してないよ。ミフユと同じ16歳だよ」
同じく敬語をやめた美冬が訊くと、セリオスは実年齢を告げた。
帝国の王族は、学生期間を縮める為に飛び級することがよくある。
しかしセリオスは飛び級しておらず、年齢通りの学年だった。
「同じ年頃の友人が欲しくてね。年齢に合わせた学年にしたんだ」
セリオスは飛び級しない理由を話す。
帝国の学園では身分差の壁があって友ができなかった。
ここでは皆と対等に学友として名前で呼び合い、くだけた口調で皆と話したいのだと言う。
「じゃあ私が最初の友達だね」
「じゃあ私は2番目」
「なら俺は3番目で」
「ありがとう」
愛歌、美冬、春樹が友達立候補する。
セリオスはかなり嬉しかったようで、年齢より幼い雰囲気の笑顔を見せた。




