prologue
「こんなものは廃棄してしまえ!」
怒声と共に、彼女は用済みとされた。
全身を激しく鞭打たれ、白い身体は血まみれになっている。
皇帝エルガー・ツォルン・シュタルクは恐ろしいほど短気である。
その怒りのとばっちりを受けぬよう、家臣たちは床に倒れたまま動けなくなった白鳥を帆布の袋に詰め込んで運び出した。
「開発者チームを連行しろ! 不良品を掴ませた者どもは処罰だ!」
「はい、今すぐに!」
皇帝が残りの家臣に命じると、彼らも慌てて行動に移る。
誰も逆らえない、逆らいたくもなかった。
怯えながら連行されてきた白衣の男たちを、皇帝は射貫くように睨みつける。
弁解など聞いてくれる相手ではないと分かっている開発者たちは、自らの未来が少しでもマシであるよう心の中で祈るしかなかった。
運び出された白鳥は、処理場へ運ばれていく。
そこへ行けば、彼女の命は終わる……
……筈だった。
「うわっ!」
「な、なんだ?」
「急に暴れ出したぞ」
「あぁっ! 逃げた!」
処理場で袋から出された途端に白鳥は猛烈に暴れ出し、怪我をしているとは思えない勢いで飛び去ってしまった。
家臣たちには翼など無いので、追いかけることは叶わず。
彼等はポカンとしてそれを見送るしかなかった。




