第9話 迷宮オーガ
ゴゴゴ……
迷宮の奥から振動が伝わってくる。
床がわずかに揺れる。
「やっぱり地震じゃないよな?」
俺が言うと、レンが首を横に振った。
「魔物」
リラも真剣な顔をしている。
「かなり大きいです」
「嫌な予感しかしない」
その時。
暗闇の奥から、巨大な影がゆっくり現れた。
ズシン。
ズシン。
重い足音。
そして姿が見えた。
身長は三メートル近い。
灰色の肌。
筋肉の塊のような体。
手には巨大な棍棒。
「……」
俺は思わずつぶやく。
「これ絶対強い」
その瞬間、文字が浮かぶ。
迷宮オーガ
Lv18
HP:220
力:45
防御:30
スピード:18
特徴
迷宮の中層に生息する大型魔物。
非常に高い腕力を持つ。
棍棒による攻撃は致命的。
「致命的って書いてある!」
俺はツッコミを入れる。
「やばいやつじゃん!」
オーガは俺たちを見る。
そして。
ニヤッと笑った。
「笑った!?」
リラが言う。
「知能があります!」
「いやそれ怖い!」
オーガが棍棒を振り上げる。
そして。
ドン!!
床を叩きつけた。
衝撃が走る。
「うわ!」
俺はバランスを崩す。
レンが叫ぶ。
「散れ!」
俺たちは左右に飛ぶ。
棍棒が再び振り下ろされる。
ドゴン!
石の床が割れた。
「威力やばい!」
レンが矢を放つ。
シュッ!
オーガの肩に刺さる。
だが。
オーガはほとんど気にしていない。
「硬い!」
リラが魔法を放つ。
「ライトボルト!」
光が直撃する。
オーガが少しよろける。
今だ。
「転生網!」
俺はスキルを発動する。
光の網が広がる。
バサッ!
オーガの体を包む。
だが。
次の瞬間。
ギギギ……
オーガが力で網を引っ張る。
「え?」
網が歪む。
「ちょっと!」
リラが叫ぶ。
「力が強すぎます!」
オーガが棍棒を振る。
ドン!
網が揺れる。
「破られる!」
レンが矢を連射する。
シュッ!
シュッ!
シュッ!
オーガの動きが少し止まる。
リラがさらに魔法を撃つ。
「ライト!」
光が爆発する。
オーガが膝をついた。
「今だ!」
レンが叫ぶ。
俺は全力でスキルを維持する。
「捕まれ!」
網が締まる。
ギュッ。
オーガが暴れる。
迷宮が揺れる。
「頼む!」
そして。
パンッ!
光が弾けた。
オーガが消える。
ピロン。
Lv17になりました
「……」
俺は息を吐く。
「勝った?」
リラも驚いていた。
「倒しましたね」
レンは静かに頷く。
「強かった」
俺は床に座り込む。
「いやほんと」
「入口の難易度じゃない」
すると。
オーガがいた場所に、何かが残っていた。
小さな黒い石。
「魔石?」
リラが拾う。
「はい」
「しかも高品質です」
「やっぱり強敵ドロップ」
その時だった。
また。
俺のスキルが反応した。
ピロン。
──転生網が共鳴しています。
「まただ」
レンが聞く。
「奥か?」
「うん」
迷宮のさらに奥。
暗闇の先から、また光が見えていた。
どうやら。
この迷宮は。
まだまだ終わらないらしい。
「帰れる?」
俺が聞く。
レンは短く言った。
「まだ探索」
「ですよね」
迷宮の奥。
そこには、まだ知らない何かが待っていた。




