第6話 迷宮の奥から来るもの
迷宮の通路は、さっきまでより少し広くなっていた。
壁の石の色も変わっている。
灰色だった岩が、黒い岩に変わっていた。
「なんか雰囲気変わった?」
俺が言うと、レンが頷く。
「層が変わった」
「層?」
「迷宮は階層構造だ」
リラも説明する。
「普通は下に降りると強い魔物が出ます」
「普通は?」
俺は聞き返す。
「この迷宮、普通じゃないんです」
それはなんとなく分かる。
入口なのにゴーレムが出てきたし。
その時。
カサッ。
通路の影で何かが動いた。
文字が浮かぶ。
黒蝕虫
Lv1
レンが矢を放つ。
シュッ。
虫は一瞬で倒れた。
「この虫、本当に弱いね」
「浅層の魔物です」
リラが言う。
「でも油断すると群れます」
「それは嫌だな」
虫の群れはもう勘弁してほしい。
俺たちは通路を進む。
しばらく歩いたあと、広い空間に出た。
「部屋?」
「迷宮の小部屋だ」
レンが言う。
広さは学校の教室くらい。
天井も高い。
そして。
部屋の中央に、何かがあった。
「宝箱?」
俺は思わず言った。
木の箱が置いてある。
いかにもRPGっぽい。
リラは少し警戒していた。
「迷宮の宝箱は罠も多いです」
「ですよね」
そんなに甘くない。
レンが近づく。
慎重に調べる。
そして言った。
「罠はない」
「マジで?」
「たぶん」
「たぶん怖い」
それでも、レンは箱を開けた。
ギィ……
中には小さな石が入っていた。
赤い石。
「魔石?」
俺が言うと、リラが首を振る。
「違います」
「魔道石です」
「何それ」
「魔法の道具に使う素材です」
なるほど。
つまりレア素材っぽい。
その時だった。
迷宮の奥から音がした。
ガサ……
ガサガサ……
「……」
レンの顔が変わる。
「数が多い」
文字が浮かぶ。
黒蝕虫
Lv1
黒蝕虫
Lv1
黒蝕虫
Lv1
黒蝕虫
Lv1
「また群れ!」
俺は思わず叫ぶ。
虫たちは一斉に突っ込んできた。
「転生網!」
光の網を広げる。
バサッ!
二匹捕まる。
残りはレンが矢で倒す。
シュッ!
シュッ!
リラも魔法を撃つ。
「ライト!」
光が弾ける。
パンッ!
虫が消える。
ピロン。
Lv12になりました
「また上がった」
リラが苦笑する。
「本当に早いですね」
「そんなに?」
「普通はここまで上がりません」
レンも頷く。
「普通じゃない」
やっぱりチートっぽい。
その時だった。
迷宮の奥から重い足音が聞こえた。
ドン……
ドン……
「……」
俺は嫌な予感がした。
「また強いやつ?」
レンが弓を構える。
「たぶん」
影が近づく。
ゆっくり。
だが確実に。
そして姿を現した。
それは人型の魔物だった。
灰色の肌。
赤い目。
手には錆びた剣。
「ゴブリン?」
その瞬間、ステータスが表示される。
迷宮ゴブリン
Lv9
HP:70
力:20
防御:12
スピード:14
特徴
迷宮に生息する亜人型魔物。
武器を使い、集団で戦う。
知能があり危険。
「知能あり!?」
俺は驚く。
ゴブリンはニヤリと笑った。
そして。
口笛を吹く。
ピィィ!
「え?」
通路の奥から足音が増える。
ドドドド……
文字が浮かぶ。
迷宮ゴブリン
Lv9
迷宮ゴブリン
Lv9
迷宮ゴブリン
Lv9
「増えた!」
俺は思わず叫ぶ。
レンが短く言う。
「囲まれる」
リラが魔法の準備をする。
「戦います!」
ゴブリンたちが一斉に突っ込んできた。
戦闘が始まる。
迷宮の奥は、思った以上に危険だった




