第5話 迷宮の光と新しい敵
壁に埋まっている青い石。
それは手のひらくらいの大きさで、ぼんやりと光っていた。
迷宮の壁に埋まったまま、静かに輝いている。
「これが……光の石?」
俺が近づくと、リラが言った。
「魔石ですね」
「魔石?」
「迷宮の中にある魔力の結晶です」
「なるほど」
つまり電池みたいなものか。
その時だった。
ピロン。
頭の中に声が響く。
──転生網が共鳴しています。
「またそれだ」
俺は思わず呟いた。
「どうしたんですか?」
リラが不思議そうに聞く。
「いや、なんか俺のスキルが反応してる」
「反応?」
レンも石を見つめる。
「魔石に?」
「たぶん」
俺は石に手を近づけた。
すると。
光が少し強くなった。
「おお?」
その瞬間だった。
ドクン。
石が一度だけ強く光った。
同時に、俺の頭の中に映像のようなものが浮かぶ。
迷宮。
深い場所。
そして巨大な光。
「……?」
映像は一瞬で消えた。
「今の何」
「ユウト?」
リラが心配そうに見る。
「大丈夫ですか?」
「たぶん」
俺は首を振った。
「変な映像が見えただけ」
レンが少し考える。
「迷宮の魔石は、時々特殊な反応をする」
「そういうもの?」
「珍しいが」
なるほど。
ゲームでもよくある。
謎のイベント的なやつだ。
俺がそんなことを考えていると。
通路の奥から音がした。
カサカサ……
俺の視界に文字が浮かぶ。
黒蝕虫
Lv1
黒蝕虫
Lv1
「また虫だ」
レンが矢を構える。
シュッ!
一瞬で一匹倒れる。
残り一匹はこっちに突っ込んできた。
「転生網!」
光の網が広がる。
バサッ!
虫を捕まえる。
パンッ!
光が弾ける。
ピロン。
Lv10になりました
「ついに二桁!」
俺はちょっと嬉しくなる。
リラも驚いていた。
「もうレベル10ですか」
「普通じゃない?」
「普通じゃないです」
レンも頷く。
「異常に早い」
やっぱりチートっぽい。
その時だった。
迷宮の奥から低い音が響いた。
グルル……
「……」
俺たちは同時に奥を見る。
暗闇の中から現れたのは。
四足の魔物だった。
体は狼に似ている。
だが体が黒い。
目が赤く光っている。
「狼?」
その瞬間、ステータスが表示される。
黒牙狼
Lv10
HP:90
力:25
防御:15
スピード:22
特徴
迷宮に生息する肉食魔物。
通常の迷宮狼より凶暴。
非常に素早い。
「同じレベル!」
俺は思わず言う。
「強いです」
リラが緊張する。
レンも弓を構えた。
「油断するな」
黒牙狼が走る。
速い。
本当に速い。
レンの矢が飛ぶ。
シュッ!
狼は横に跳んで避けた。
「避けた!?」
リラが魔法を放つ。
「ライトボルト!」
光が狼に当たる。
だが止まらない。
狼は俺に向かって突っ込んできた。
「え、俺!?」
俺は慌てて手を出す。
「転生網!」
光の網が広がる。
しかし。
狼は速い。
網の横をすり抜けた。
「うそ!」
その瞬間。
レンが矢を放つ。
シュッ!
狼の肩に刺さる。
動きが一瞬止まる。
「今です!」
リラが叫ぶ。
俺はもう一度スキルを使う。
「転生網!」
バサッ!
今度は狼を包んだ。
狼が暴れる。
ガルルル!
網が揺れる。
「破られる!?」
リラが魔法を撃つ。
「ライト!」
光が狼に当たる。
動きが鈍る。
網が締まる。
ギュッ。
そして。
パンッ!
光が弾けた。
ピロン。
Lv11になりました
戦闘が終わる。
俺は息を吐いた。
「はぁ……」
「今の強かった」
リラも少し疲れていた。
「迷宮の奥に近づいているのかもしれません」
「まだ浅層なんだよね?」
「はい」
「……」
この迷宮、先が長そうだ。
その時だった。
さっきの魔石が、また光った。
ドクン。
俺のスキルが反応する。
──転生網が共鳴しています。
「まただ」
レンが石を見る。
「普通の魔石じゃない」
リラも頷いた。
「迷宮の特殊魔石かもしれません」
俺はその光を見る。
なんとなく分かる。
この迷宮の奥には。
何か大きな秘密がある。
そして。
俺のスキルは、それに関係している。
そんな気がした。




